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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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マーケティングを経営ごとに 識者のInsight

伝統的BtoB企業が挑戦する マーケティング体質への革命

一人ひとりが有する多様性を引き出すこと

――なるほど。同時に、今のお話のようなマーケティング発想を、伝統的なBtoB企業である御社に浸透させることも重要ですね。

 まさに、そうなんです。新たな顧客購買体験を創出できる会社にすることと、それができる人材を育てることは表裏一体です。冒頭でお話ししたインテルの米広報室に出向いた際、忘れもしない、当時の室長から「広報室のカスタマーは誰か」と聞かれました。当然メディアでしょうと答えると、「それでは50%、もう半分は社内。広報は社内外の間にいる存在」と返され、目から鱗でした。これはもちろん、広報を含むマーケティングそのものについても同様です。

 間接部門にとっては直接部門のスタッフがカスタマーなので、昨年度末から、マーケティング本部がパートナーとしてふさわしいかの評価をしてもらっています。私個人も本部のスタッフに「本部長としてふさわしいか」の評価を受けています。今年度からはマーケティング本部以外にも拡大し、人事をはじめP/Lを持たない部門も直接部門のスタッフからの評価を受けることになりました。

――阿部さんを起点に、全社が変わっていっているんですね。では、人材育成に対する指針をうかがえますか?

 これからは、イントラパーソナル・ダイバーシティが重要になると思います。一人何役もこなせる、一人内多様性というか。私は幸い、人事異動が柔軟な土壌でキャリアを積んだので、YOKOGAWAももっと人が軽やかに動けて、多様なキャリアを積めるようにシステムを変えていきます。

――そこまで目を配られているんですか。

 ええ、最後はやはり人です。“Right Person,Right Place”が実現できているかどうかで結果がまったく変わってきますから。

これから求められる二刀流のマーケティング

――では、これから阿部さんが育てる方々を含めて、マーケターにはどんな素養が求められると思われますか?

 これからのマーケターには、二刀流のマネジメントが必要です。たとえば、オンラインとオフライン、アウトバウンドとインバウンド。今後はプロモーションも双方向で、見込み案件を発掘し育てるだけでなく、顧客に自分たちを見つけてもらうことも考えないといけません。それからこれは私の造語ですが、マス広告など伝統的なマーケティングとデジタルマーケティングが混ざり合うエリアで戦う“汽水マーケティング”も重要です。

 セールスも例外ではないですね。アウトバウンドセールスと同時にインバウンドセールスも必要になってきます。我々も今年は後者を強化するつもりです。その意味では、マーケティングとセールスが対になっていないといけない。マーケティングだけアウトだインだといっても、動けませんから。

 BtoBの領域は概して変化が遅い、動きが遅いと言われます。YOKOGAWAも厳しい言い方をすれば、例外ではない。でも世の中はどんどん変わっていくので、変化しないと周りに取り残されるだけです。先ほどお話ししたように、追随する立場ではこれからどんどん厳しくなるので、変化を起こす側になる必要があります。YOKOGAWAを、フォロワーからリーダーにしていきたい。目安は10年以内です。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

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2021/02/26 18:01 https://markezine.jp/article/detail/27905

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