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MarkeZine Day 2025 Autumn

西口一希と考えるマーケティング視点の経営

「データとにらめっこしても何も生まれない」スマニュー西口×ニトリ田岡のマーケティング視点の経営

越境して「π(パイ)型」人材を目指せ

西口:確かに、アイデアをフレームワークで探ろうとするのはナンセンスですね。

田岡:そうですね。あと………マネできるものではないですが、僕はずっと転校生だったんですよ。幼稚園から中学まで9校通ったので、そこで身につけざるを得なかったコミュニケーション力は強みだと思います。

 相手に何かを伝えようとするときは、伝えようとすることに対する自分と相手の知識と意識のギャップを測り、そのギャップを埋めるコンテンツを用意し伝え方を考えないと伝わらない。これは、企業と消費者間のコミュニケーションでも、社内のコミュニケーションでも同じですよね。

西口:なるほど、そういう背景があったんですね。では、マーケターへのアドバイスをいただけますか?

田岡:求められてから提案するのではなく、経営が行くべき方向を常に考えて、調査や実験を行い、先回りして提案することが大事だと思います。普段からマーケティングのセクションが経営の先行きを照らすサーチライトの役割を担っていると、いざ「南にいくべきです!」と提案したときにも聞き入れてもらい易いと思います。

 また、特にデジタル出身の皆さんは、「まずは数字を見てから考える」ことを止めることが大事なのではないでしょうか。自分自身がいちユーザーとして消費を楽しみ、不便に気付いたり、良いサービスに喜んだり、そんな感覚を養っていただいたらと思います。そこから出てくる仮説を手持ちやパブリックのデータで確認する、というやり方であれば、初期の仮説検証もクイックにできます。

西口:ちなみに、転職は勧めますか?

田岡:そうですね、もし数字だけに向き合う場所にいるのであれば、異動か転職かは別として、一度は生の商売に触れることを強くお勧めします。西口さんもECに携わって勉強になったっておっしゃっていましたが、ECは顧客獲得からリピート販促、そしてそれらを総合して測るLTV、と個々の顧客との関係が可視化でき、顧客に向き合うことが学べお勧めです。

 前述したように、オフラインでの顧客の動きもトラッキングできるようになってくるとリテールなど全てのビジネスがダイレクトマーケティング化していきますので、ECの経験はこれからの必須になるかもしれません。領域を広くカバーしながら、1点は深いスキルや知見を持つ人材を「T型」とよく言いますが、ECなど異分野の経験によって2つ以上の強みを持つ「π(パイ)型」人材を目指してほしいです。それによってより複眼でものが見えるようになり、一人ディスカッションみたいなこともできるようになると思います。

 最後に、転職した先では最初の試合から早くも結果を求められます。ですので、1打席しか確保できずに1打数0安打となるのは避けた方がいいと思います。3か4打席立つ機会を確保し、必ず少なくとも1安打打って結果を残すようにしましょう。そうすればまた次の3打席、4打席とチャンスをもらえます。バッティングと同じで新しいことへのチャレンジは3割打てれば一流です。なのに1打席0安打では、次の打席をもらえないリスクがあります。

西口:僕も身に覚えがありますね、それ、確かに大事です。今日はありがとうございました!

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この記事の著者

西口 一希(ニシグチ カズキ)

大阪大学経済学部卒業、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)マーケティング本部に入社。ブランドマネージャー、マーケティングディレクターを歴任。ロート製薬 執行役員マーケティング本部長として「肌ラボ」「Obagi」「メラノCC」「デオウ」「ロート目薬」などの60以上のブランドを統括。ロクシタンジャポン代表...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/05/11 08:00 https://markezine.jp/article/detail/28202

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