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「デジタルで人を幸せに」 電通デジタルが進む2018年とその先

電通が強みとしてきたフルファネル提案をデジタルで

――メディアサイドとしては、発足当時はデジタルのテクノロジーに強いというイメージを持っていましたが、電通グループ全体に関わるPDMの発表や、直近では電通デジタルの顧問にクリエーティブディレクターの小霜和也さんが就任するなど、今後はテクノロジーに留まらず、電通自体が強みとしてきたインサイトの発見やクリエーティブ開発も推進していくのだなと感じています。

鈴木:まさに、そのとおりです。ブランディングにクリエーティブが重要なのはいうまでもありませんが、デジタルが今まで得意としてきた購買契約をはじめとする実質的なコンバージョンの獲得にも、ファネル全体におけるフルファネルクリエーティブが果たす役割はとても大きくなっています。トップファネルと呼ばれている認知の獲得領域だと、特に重要になってきています。

 そして、トップファネルの領域こそ、ネット専業の広告会社などと比較して我々、総合広告会社が強みを持つ部分です。FacebookやTwitter、LINE、Google、YouTubeといったプラットフォームごとの特性に応じてデジタルクリエーティブの専門性を高め、フルファネルで提案できる体制を整えている最中です。小霜さんの件や、昨年4月に電通デジタル内に「アドバンストクリエーティブセンター」を立ち上げ、部門長に電通でクリエーティブの手腕を振るってきた並河進が就任していることも、その一環です。

 クリエーティブだけでなく、システム領域でもグループ会社と協業したり、他にも複数のパートナーと連携を進めています。クライアントのニーズが単発の広告キャンペーンから“オールウェイズ・オン”のマーケティングへと変わっていることを捉え、その一歩先をゆく、成功の確度が高い提案ができるように整えました。

 同時に、組織やビジネス自体をデジタル社会に対応したものにしていこうというデジタルトランスフォーメーションのニーズもとても高いので、その部分にもしっかり応えていきます。

各パーツが優れていてもよく走る自転車にはならない

――先ほど鈴木さんから、山口さんが電通所属時にPDMのベースを発案された、というお話がありました。この経緯を少しうかがえますか?

山口:私は、29年間電通に勤めるうちのほとんどが営業職なんですね。大阪拠点が長く、直近も大阪で営業をしていました。特に電通が2013年にイージス・グループを買収してからは、電通イージス・ネットワークと連携しながらクライアントへの提案に臨むことも多く、彼らグローバルエージェンシーの仕事の仕方や組織の作り方を知るたびに、電通は遅れているのではないか、このままで大丈夫なわけはないと強く感じるようになっていました。

 もちろん、生活者のデジタル化に応じて、デジタルプラットフォーマーと連携してデータを活用するなどしていましたが、やはり実際のプロジェクト提案などは、昔からのトラディショナルなマーケティング手法を少しカスタマイズするに留まっていたと思います。

 片や、特にグローバル企業をはじめ、クライアント企業の要求レベルは高まっています。それに応えられず、電通に足りないものを厳しく指摘されたことも一度や二度ではありません。この状況を数年前から経営陣に訴え、指摘を謙虚に受け止めて抜本的に変えていく必要があると話してきました。

――具体的には、何が足りないと?

山口:電通グループは、各部門が優れたプロダクトを持っていても、それらが全体として体系立っていない、と。要するにパーツごとに部分最適化していて、電通グループとしてどういうビジョンのもとにマーケティングを支援していくのか、どういうメソドロジーで進んでいくのかという基盤がなかったんです。

 そんなことを訴えていた中、昨年1月に電通のデジタルプラットフォームセンターへの異動があり、そのメソドロジーの開発に取り組む機会が訪れ、鈴木をリーダーに、一気にPDM開発にまで漕ぎ着けたわけです。開発時、よく自転車を例に挙げていました。いくら各パーツが優れていても、メインフレームが時代遅れのオンボロでは、乗り心地のよい自転車にはなりませんから。

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電通と両輪での動きをさらに強めていく

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

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2021/02/26 17:59 https://markezine.jp/article/detail/28259

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