信用構造の変化が各領域で起こる

Satoshi Nakamoto氏は『貨幣論』を読んでいたのではないか? なぜなら、『貨幣論』を読むと、仕組みができれば、法定通貨以外に貨幣が流通し、一つの国の中に「複数の貨幣」「複数の経済圏」を作れる、と直感するからだ。そのため、私の場合は、「貨幣の複数性」という論文を書いたのだ。
つまり、公権力とは無関係に、ブロックチェーンのような新技術によって、貨幣は新たに生まれてくる可能性があり、常に複数性を孕んでいるものだと思う。
そして、ビットコインのような仮想通貨をSatoshi Nakamoto氏が構築できる背景には、やはり、社会のリゾーム化がある。
「つながりがある(connected)」社会が実現すると、ブロックチェーンのような技術が生まれてくる。チェーンによって、どこが始まりで終わりなのかわからない(no-start/no-end)「無限の循環論法」が作動する。
その結果、「中心がない(decentralized/distributed)」信用システムの基盤が完成し、日本円経済圏(clustered)から独立したビットコイン経済圏(clustered)のかたまりができる。
このような現象は、「開放的で解放的(open/liberal)」だ。なぜなら、技術力さえあれば、国家でなくても誰でもオープンに貨幣経済圏を作ることができる。そして、複数の経済圏が存在すると、日本円という一つの経済圏に束縛されることなく、そこから解放される。
「リゾーム化社会」は、貨幣の信用構造を変えた。メタップス佐藤氏のいうように「お金2.0」になった。
ところで、同じような信用構造の変化がメディアの領域でも生まれている。そのことが、マーケティングにも影響を及ぼしている。次回以降の連載では、フェイクニュースやメディアの信頼性、そして、マーケティングの話に踏み込んでいきたい。