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MarkeZine Day 2025 Retail

リゾームマーケティングの時代

広告の鬼・吉田秀雄の偉業を再び マイデータ・情報銀行の仕事をゼロから創りあげる


キープレイヤーは誰に 覇権を取り戻せるか?

 GDPRの施行によって、情報ビジネスおよび広告ビジネスがリゾーム型に変化していく。ヨーロッパの知識人は中心の監視人を排除したいのだ。その環境で、堅牢なビジネスモデルを確立するには、そこでキープレーヤーになる存在を重視しなければならない。それは、ピラミッド型のマスメディアの時代に、電通が、ピラミッドの頂点に位置するキープレーヤー(=メディア)との関係性を重視したのと同じだ。

 では、リゾーム型の時代、あるいは、マイデータの時代、キーとなるプレーヤーは誰なのか。それは、あきらかに、個人である。マイデータのビジョンに、「The core idea is that individuals should be in control of their own data.」と書かれている通り、主語は個人なのだ。

 そして、ビジョンの後半に書かれていることを実践することが重要だ。

 「The MyData approach aims at strengthening digital human rights while opening new opportunities for businesses to develop innovative personal data based services built on mutual trust.」

 マイデータや情報銀行などのビジネスモデルで重視するのは、まず、デジタル上の人権(digital human rights)をきちんと守ることだ。そして、同時に、相互の信頼に基づき(built on mutual trust)、パーソナルデータや個人情報を使ったサービス(personal data based services)を構築する。それは、つまり、個人の同意に基づいて個人情報を使う。

 広告業界ではこれまで、個人情報を直接的にはあまり扱ってこなかった。また、BtoCと言われる個人向け、消費者向けのビジネスも直接的にはやっていない。そのため、新会社「マイデータ・インテリジェンス」のビジネスモデルも、未知の領域であり、チャレンジである。まさに、ゼロから仕事を創ることになるからだ。

 GDPRの施行でヨーロッパがやっているのは、GoogleやFacebookが中心にいるビジネスモデルに異を唱え、新しいビジネス環境を創ろうということだ。これは、日本の広告業界にとっても、チャンスになる。

 日本でも、これまでのクッキーやIDを使った広告配信技術が、各個人の同意なしには、使えなくなるかもしれない。これは、業界の地殻変動を招来する。そして、伝統的な総合代理店などにとっては、絶好のチャンスになり得る。チャンスにしなければならないはずだ。

 この来るべき新しい環境の中で、新会社「マイデータ・インテリジェンス」は、どんなビジネスモデルを構築していくべきなのか。私は、この会社の設立プロジェクトに関わったので、守秘義務の関係上、具体的なことを書くことはできない。

 が、問題のない範囲で、自分がコンサルタントの仕事で話している3つのコンセプトについて紹介したいと思う。その3つのコンセプトは、「Caring」「Sharing」「Recycling」だ。

次のページ
マイデータ・インテリジェンスの3つのコンセプト

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/09/21 15:33 https://markezine.jp/article/detail/29092

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