BtoBマーケティングは「リード獲得」だけではない
――なるほど。「BtoBでもブランディングを意識している」ということはあまり一般的には認識されていないのでしょうか?
高山:そうですね。最近ではMAが広く活用されるようになり、BtoBのマーケターはリードの獲得やナーチャリングだけを行っているように思われがちですが、「それ以外の部分、いやむしろ全方位をカバーしている」ということは言いたいです(笑)。
BtoCの消費財ではよく、会社名よりも商品名そのものがブランドとして有名になっているケースがありますが、弊社も「セゾン情報システムズの『HULFT』」ではなく「HULFTさん」と言われることがよくあります。こうした製品のブランディング活動も行った上で、多岐に渡る業務のひとつとしてホットリードをつくり、営業に渡すということをしています。
――BtoBでもBtoCに共通した部分があるとは、驚きでした。
高山:そうそう。だから、楽しいですよ(笑)

リードに対して、営業と一緒になって戦略を立てていく
――御社では具体的にどういったマーケティングの体制をとっていらっしゃるのですか?
高山:弊社では、2015年にオラクルが提供するMAツール「Eloqua」を導入しました。当時はまだセールスフォースの「Pardot」がリリースされておらず、「Eloqua」か「Marketo」という状況でした。
実は、弊社の社長が事業部長だった2013年頃には、既に弊社では案件化から受注までのプロセスを可視化する「パイプライン管理」の考え方が営業に根付いていました。よく、そういった営業案件の進捗を共有するシステムを構築する前に、先にMAツールだけを導入してしまうお話を聞きます。「ホットリードをエクセルで渡してしまう」というのはBtoBあるあるですね。
MAツール導入の本来の目的は、パイプラインにマーケティングが創出したリード情報を格納していくことです。これによってお客さまの行動を把握し、営業活動が効率的になるということです。弊社の場合は、そうした考えが元々浸透していましたので、MAツール導入もスムーズに受け入れられました。他社と比べても、弊社は営業とマーケティングの距離が近いと思います。定期的に会議を開き、戦略の方向性に関しても共通の認識を持つようにしています。
――BtoBマーケターとして、最もやりがいを感じる瞬間は何でしょうか?
高山:何か特定の瞬間というよりは、「日々の業務」にやりがいを感じています。たとえば、弊社では現在「フリーアドレス」が採用されていて、オフィスの好きな場所で作業することが許されています。通常は、自動的に営業へ確度の高そうなリードの情報が送られるのですが、あえて営業の近くで仕事をして、最適なタイミングで「良いリード情報が届きましたよ」「ぜひ私が対応したいです!」といったコミュニケーションをとったりもしています。そういった部門を超えた連携ができることに、非常にやりがいを感じますね。
MAツールを導入する前は、「このリードを追ってください」とエクセルで作成したリード情報を連携するだけでした。それが導入後は、マーケティングと営業の持つデータを連携し、ひとつの部隊として動いてく仕組みが構築されていきました。