SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

愛され続けるためのブランド戦略

【3年で売上130%増】「ココナッツサブレ」のブランド戦略3部作~お菓子は楽しいを伝えるために

新たな食シーンと習慣を提案

MZ:食機会と奥行を拡大すべく、行った施策について教えてください。

松長:引き続きエビ中とコラボし、2017年の6月に実施したのが、メッセージサブレです。内袋に全19種類のメッセージが書いてあるもので、よくお菓子にメッセージを添えてコミュニケーションを取るケースがあると思いますが、それを手軽にしようと取り組みました。

 若い人たちに使ってもらえるよう、ちょっとクスッとくるようなメッセージをエビ中のメンバーに直筆してもらい、プリントしました。ターゲットである彼女たちの同世代にとっては、これがリアルで可愛いと考えました。経営陣への説得は大変でしたけど(笑)。

 これまでは、以前のパッケージだと持ち運びにくいこともあり、家庭の中で消費されるのが中心だったと思います。そこで、オフィスや学校で人にあげるという新たな食シーンを促進することを目指しました。2018年にはオフィスで働く社会人向けのバージョンも用意したところ、TwitterなどのSNSを中心に良い反響が生まれました。

 そして、もう一つ習慣化を狙うべく「ココナッツ3:20」というキャンペーンを行いました。3時20分をココナッツサブレの時間にしようというもので、午後3時20分から3時20分59秒までの間のみTwitterで応募できるキャンペーンを1ヵ月半にわたり行いました。

 また、午後3時20分に流れるサブレの歌というものを制作し、都心の大型ビジョンで配信するなど、おやつにココナッツサブレを食べることを定着化させるコミュニケーションを試みました。

MZ:結果はいかがでしたか。

松長:期間中の店頭での回転率が上がりましたね。そして、3部作の施策を通して、施策以前に比べて130%ほど売上が伸びました。昨今、売上を維持するだけでも厳しいブランドがある中、ココナッツサブレはここ数年ずっと右肩上がりというのは、特徴的な成果だと思います。

次に目指すは「どこでも買える」

MZ:3部作のプロモーションに共通して、真剣にネタを作っていること、ツッコミどころを作っているところを感じたのですが、これらのキャンペーンの中で、共通して意識していたことはありますか。

松長:3部作のプロモーションをスタートした時に根底にあったものとしては、「お菓子は楽しいもの」であることを伝えたいという想いでした。おいしいのはもちろん、そこにココナッツサブレがあることで「嬉しい」「楽しい」と思ってくれる人が増えてほしかったんです。

 機能的な価値と感性的な価値のバランスで考えた時に、ココナッツサブレは後者が強いものであるというブランディングをしていきたかったので、「楽しい、ユニーク、おもしろい」の3つをキーワードに、他社のビスケットブランドではできないことをやろうと決めました。

 そして、ツッコミどころを作るというのも意識していました。昨今のコミュニケーションは、消費者との距離が近いものでないと、見向きもされません。そのため、特に若者にはツッコミどころのあるゆるいコミュニケーションが近い距離感を生み出せると思い、そこに全力で取り組みました。

MZ:では、最後に今後の展望について教えてください。

松長:ブランディングにも成功し、お客様からのイメージは良くなっているので、次は「どこでも買える」ということに取り組みたいです。

 ココナッツサブレは、スーパーやドラッグストアに行かないと買えないイメージが現状あります。そうではなく、駅の売店や新幹線の車内販売、極端にいえば富士山の山頂の山小屋でも買えるくらい、どこにでもある状況を目指したいです。

 プロモーションに関しても、様々な媒体で行い、接触機会を適切に増やしていき、もっとココナッツサブレを身近にしていきたいです。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
愛され続けるためのブランド戦略連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2018/11/15 07:00 https://markezine.jp/article/detail/29662

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング