人工知能は、「生産もするし消費もする経済主体」
繰り返しになるがGoogleなどの外資系企業の一部は、日本の法人税を免れている。だとしても、個人情報/データの所有権を基本的人権とし法整備すれば、個人情報/データをビジネスに利用する限りは、法律を遵守して対価を払うことになる。しかも、ピケティがいうとおり、GoogleなどIT企業の資本の収益率は高い。そこと連動することで、彼らの成長の果実の一部を分配してもらうことができる。
内部留保を蓄えている企業も、同様に、個人情報/データを利用したマーケティング活動において、その対価を個人に支払う。これは、効率的で効果的な内部留保の吐き出し方の一つになるのではないか。
そして、結果的に、人工知能は、「生産もするし消費もする経済主体」の一つになる。
私は、カウンセル兼フェローとして電通総研の活動に関与している。電通総研では「人口減少社会におけるマーケティング活動と企業活動のあり方」(参考リリース)をテーマの一つにしている。
人口が減少する社会においては、生産を担う労働者も、購買力を持つ消費者も減少する。その条件でのマーケティング活動と企業活動は、人工知能を生産者兼消費者として、活用していくべきだ。
そして、生身の人間の消費者に、ベーシックインカム的に対価を支払い、購買力を与えることによって、消費者(顧客)を維持・「育成」するようなマーケティングを実施してはどうだろうか。電通総研の活動を通じて、私は、そう考えるに至った。
最後に、フィリップ・コトラーの言葉を引用したい。
「マーケティング・マネジメントとは、標的市場を選択し、優れた顧客価値の創造、伝達、提供を通じて、顧客を獲得、維持、『育成』する技術である」(『コトラーのマーケティング・コンセプト』 東洋経済新報社2003 の5ページ目より引用)
人工知能を活用し社会全体の生産性を高めつつも、顧客を獲得するだけではなく、維持および「育成」する。電通グループが設立した情報銀行「株式会社マイデータ・インテリジェンス」に、私が込めた思いだ。