二次流通が定着する中で人気のブランドとは
前回の記事で、フリマアプリにより消費者の間に「二次流通の一般化」が起きていると述べました。ここでの二次流通とは、使わなくなったものや一定期間使用したものを、“商取引”で次の人に譲ることです。若者から母世代、シニア、さらには子どもの金銭教育まで、二次流通を前提とした新たな購買文化が生まれています。
では、二次流通が一般化する中で、商品を販売する企業やメーカーはどう消費者と向き合うべきでしょうか。メルカリでの取引データを分析すると、参考になりそうな傾向がいくつか見えてきます。
ここで、ひとつのランキングをご紹介します。メルカリで最も取引されているブランドを調べたところ、1位はユニクロでした。二次流通が一般化すると、今後は「二次流通でも価格の下がりにくいこと」が一つの商品価値になると言えます。その文脈から、ハイブランドな商品の取引量が多いと考える方もいるかもしれません。
しかしながら、ユニクロは明らかにハイブランドと言われる価格帯の商品を展開していません。では、なぜ同ブランドが1位となったのでしょうか。
「期待値を下回る」という不安を、どう払拭するか
まず背景として、メルカリは生活に寄り添ったサービスであるということが言えると思います。前回も触れたように、これまでのインターネットオークションは希少性や普段使わない高級品の取引が主流でしたが、フリマアプリは生活に近い商品を売り買いするプラットフォームとなっています。そのため、流通量が多く、普段から数多く着るユニクロなどの取引量は多くなります。
これは、普段使われているものがそのまま二次流通で多く取引されていることの証明で、「二次流通の一般化」を表していると言えます。
さらに、ユニクロの取引量が多いのには、他の理由もあります。それは「CtoC取引での購入に対する不安の少なさ」です。二次流通でも価値を保つ商品のポイントにつながるのですが、ユニクロはベーシックな形・スタイルの商品が多く、消費者の大半がサイズ感を把握しています。つまり、サイズ違いや期待値を下回るといった“損”をしにくいので、CtoC取引での購入も不安が少ないと言えます。それに加えて、ユニクロというブランドへの信頼が取引を後押ししています。
二次流通で価値を持つのは、必ずしもハイブランドだけではありません。消費者からの親しみと信頼を持っていれば、それは二次流通で価値になります。この点を示唆するデータと言えるでしょう。