SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

定期誌『MarkeZine』特集

「Pairs」の急成長を支えるサービス設計とマーケティングの全貌

他社の成功事例やフレームワークから学ぶ

 ――Pairsの累計会員数は2019年1月に1,000万人を突破し、国内でも有数のオンラインデーティングサービスだと思いますが、アプリ運営をしていく上で、重要視しているKPIはありますか。

 定期観測している数値は多数ありますが、その上でKPIとして重視しているのはMAUとDAUです。これは、Pairsの「日本とアジアにデーティングサービス文化を定着させる」というビジョンをベースにしています。恋愛したい、パートナーを探したいと考えている方たちが日常的に使っているかどうかの判断にはMAUとDAUが一番良いと考えました。また、DAUをMAUで割った数値をStickiness(粘着性)と呼び、ウォッチしています。

 しかし、その数値が1%下がったからと言って、施策をすぐ変更するわけではありません。サービスを運営する上で、立ち戻る拠りどころとしての数値だと考えています。

――アプリビジネスを成功に導くためのポイントは、どのようにお考えですか。

 自分たちでフレームワークを作るのではなく、通販や日用消費財など成功事例を生み出したマーケティングのフレームワークを活用することです。自社のビジネスは新しいと考え、KPIやフレームワークをオリジナルで考えるのはナンセンスかなと思います。

 違う業界の成功事例を模倣する、ゆっくりと地道に当たり前のことを実行していくことが近道です。Pairsのテスティモニアルも、他社のアンバサダープログラムなどから影響を受けていますし、その他にも成功している企業のマーケティングのノウハウを分析し、参考にしています。

 そして参考にした施策を「Pairsでやるならどうする?」と考え、キャンペーンやメールの設計に落とし込んでいます。

――すでに体系化されているマーケティング手法から、ビジネス成功のヒントを見つけていくのですね。

 私自身、他の業界外の方に会ったり、あえて異なる業界の勉強会に参加したりと、違う領域から学ぶことが多いですね。模倣だとしても、業界で初めてならイノベーションになると思います。

 デジタルで効率的に運用することだけではなく、他社の成功事例や確立されたフレームワークを自社の事業に反映できるのがマーケティングだと考えています。

信用度を高めるプロモーション戦略に注力

――今後、Pairsやオンラインデーティングサービスの認知を広げるため、どのようなことに取り組まれていくのでしょうか。

 まずは、安心安全なサービスの運用を徹底することです。人と出会いたいというニーズは昔からあるものですが、まだまだオンラインデーティングサービスは発展途上です。

 私たちは、機械学習を入れることで目的外利用者を事前検知しながら、オペレーター常駐のもと24時間365日のカスタマーサポートを行っています。不正対策にリソースを割き、システム投資をしてきたからこそ、近年のサービス認知・利用へつながったのだと思いますし、引き続き重視していくところです。

 一方、まだ大手マスメディアを中心に広告出稿には制限があります。これに対しては、運営並びにクリーンな広告・宣伝を続けることで信頼を築いていくしかありません。

 ここ2年間は、広告に関してもブランディングに注力してきました。デーティングの広告は、男性会員獲得を意識しセクシーな女性を使ったクリエイティブのイメージがありますよね。しかしPairsの広告クリエイティブは、女性視点でチェックしています。どんなに男性ターゲティングされた媒体であっても、女性がNGと感じるクリエイティブは使用しません。

 さらに、結婚に関するイメージのみを押し出しているわけではないんです。Pairsをきっかけに結婚された方は数多くいらっしゃいますが、結婚はゴールではありません。Pairsは、パートナーと一緒に過ごすことはいいよねというメッセージや恋愛の楽しさを伝えたいんです。

――OOHなども見かけますが、ブランディングを目的に出稿しているんですね。

 広告には、認知や獲得だけでなく、信用力を高めるという効果もあると思っています。信用力を高める一環としては、企業とのタイアップも積極的に行っています。

 2017年の秋に行ったPairs5周年のキャンペーンには、キリン、ピエール・エルメ・パリ、フエルサブルータ各社様に協賛いただき、クラフトビールを学ぶ場や料理教室、体験型エンターテインメントなど、会員向けの体験型マッチングイベントを実施しました。

体験型マッチングイベントの様子
体験型マッチングイベントの様子

 SUMMER SONIC 2018ではオフィシャルスポンサーにもなりましたし、JリーグやBリーグのクラブとコラボレーションし、観戦デートを企画しています。やはり音楽やスポーツは共通の趣味として盛り上がりますし、体験イベントなら会員もデートに誘いやすい。実際に平日の観戦チケットであっても申込み数が多く、アクティブ会員の多いプラットフォームとして、企業の皆様には新しいプロモーションの場をご提供できていると思います。

 また、私たちが世の中のメインストリートへ出ていくことによって、会員からも安心感や信用が生まれます。このような取り組みを通じて、クリーンなサービスであるというブランディングを行っています。

――最後に、これからの展望をお聞かせください。

 まずは、アメリカやフランスのようにオンラインデーティングサービスを使いやすい世の中にしていきたいです。

 毎年、日本における独身者人口に対するPairsのMAUの割合を追っています。この数値を、海外の主要オンラインデーティングサービスと同様の高さまで成長させていくことが、一番の目標です。その規模のサービスとなる頃には、また様々なことが見えてくるのではないかなと楽しみにしています。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
定期誌『MarkeZine』特集連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2019/02/26 10:48 https://markezine.jp/article/detail/30384

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング