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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

定期誌『MarkeZine』特集

「Pairs」の急成長を支えるサービス設計とマーケティングの全貌

サービスモデルに適した集客設計

――サービスにおけるKPIはなんでしょうか?

 初期は会員登録数です。会員が集まらないと成り立たないサービスですから、リテンションレートよりも登録者数を重要視していました。オンラインデーティングサービスをCtoCサービスで考えると、一人の会員が売り手でもあり買い手でもあって、会員が増えれば取引される機会も増えるので、会員数の増加が第一なんです。

 また、アプリはCPIが安ければ良いという考え方もありますが、サブスクリプションモデルのPairsが意識すべきはCPS(コストパーサブスクリプション:継続課金に対するコスト)。その効果が高い媒体に出稿することを優先しており、早いタイミングからLTVを重視してきました。

 その上で注視しているのが、会員数の男女比。多くのオンラインデーティングサービスが「男性は有料、女性は無料」など男女で課金形態が異なります。Pairsも女性は基本無料です。そのため、ボリュームや売上を優先すると男性会員の獲得を考えがちですが、Pairsは均等な男女比を重視しています。

 会員の皆さんは、マッチングの成立を求めているため、女性が極端に多い、もしくはメッセージのやり取りができない無料会員の男性が多い状態だと成り立ちません。会員登録をした純粋な男女比ではなく、リテンションレートから男女比を決めるのが重要です。そこまで踏まえて、集客を設計しています。

サービス退会者がバリューを生む仕組み

――オンラインデーティングサービスは、マッチングが成立すると会員は退会してしまいます。会員が退会して減ってしまうことは、リスクではありませんか。

 Pairsは「オンラインデーティングによるパートナー探しのカルチャーを作りたい」と考えていますので、良い出会いがあり退会することはまったく問題ありません。目先の退会よりもリファラル、利用者による紹介や推薦を大切にしているんです。

 多くのサービスは、買った時や利用中にメリットを享受しリファラルが起きますが、Pairsのメリットを感じるのは退会した時。つまり退会した人にしか、リファラルを起こせないのです。だからこそ、私たちは退会した会員とのつながり作りを大切にしています。

 そのひとつが、退会者にPairsでの体験を語っていただくテスティモニアルキャンペーンです。クリエイティブにはすべて、Pairsを通して恋人ができた、結婚したという退会者をキャスティングしています。

テスティモニアルキャンペーンに参加した夫婦
テスティモニアルキャンペーンに参加した夫婦

 2018年のゴールデンウィークに行ったキャンペーンでは、約40ヵ所のOOHや動画広告に88組186名のカップルと家族が登場しています。また「サプライズプロポーズをしたい」という会員からの相談を受け、準備からプロポーズまでの一連の行動を撮影し、その動画を結婚式で流すというお手伝いもしました。

 Pairsのテスティモニアルの大きな特徴は、顔写真を掲載することです。デーティングや婚活業界において、写真を掲載するテスティモニアルは前例がなかったのですが、2017年8月に実施した一番初めのキャンペーンでは3組のカップルに登場いただきました。

 以降、協力したいというカップルは少しずつ増えています。顔を出して体験を語ることを、前向きに捉えるカルチャーを生み出せていると実感しますね。

 テスティモニアルに承諾いただいた退会者は、定期的に「幸せレポート」でご紹介する他、雑誌や新聞などのインタビューもお願いすることがあります。退会者とエウレカ社員を交えた、カジュアルな交流会も行っています。会員同士の会話からサービスの反響を知ることができるので、私自身も肩肘張らずに参加しています。

――そのような交流から「Pairsっていいよ」という声が生まれているんですね。退会者がアンバサダーのような役割を果たしていると。

 「デーティングサービスだから、リファラルは起きない」と割り切っては、せっかくの会員体験が失われてしまいます。退会後のつながりを大切にすることが、リファラルの声を大きくし、新しい会員獲得につながる。この循環が生まれるため、退会そのものは問題でないと考えています。

 退会者の皆さんは私たちへ様々な価値を提供してくれるので、ポジティブに捉えています。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/02/26 10:48 https://markezine.jp/article/detail/30384

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