エンジニアが少ない体制でもPDCAを回せる
「ライフスタイル&テクノロジー」を事業領域としているストライプインターナショナルだが、KARTE導入前の社内エンジニア比率はわずか0.2%だった。KARTE導入の背景は、少ないエンジニアで複数施策のPDCAサイクルを回しながらECサイトを運営でき、改善ノウハウの蓄積も可能という点もあったわけだ。
これは、自社ECサイトであるSTRIPE CLUBからSTRIPE DEPARTMENTのタイムセールへの誘導事例だ。「最近7,000円以上の購入をされているお客様」に対象を絞り、商品一覧ページにタイムセールへの誘導バナーを出した。
また、対象の条件に「35歳以上の方」「特定のページを閲覧された方」を加えた上で、購入完了ページにも同じバナーを出すように設定した。その結果、後者のバナーのCTRのほうが高く出た。
「オフラインの消費者行動を想像すると、その理由がわかります。目当ての商品を店舗で購入すると、そこで1度アクションは切れますが、購買意欲は高いまま近くにある他の店舗を巡ろうとしますよね。このように、人が物を『買っていいかな』という気分になっている時に誘導バナーを出した結果、オンラインでも高い数値が表れました。お客様の気持ちを考えた接客をすることで、オンラインでもオフラインと同じようなことができるという点が本事例の収穫です」(榎本氏)
オンラインとオフラインを行き来するユーザーに最適な体験を
「KARTEを導入することで、オンラインの接客最適化はできるようになった」と榎本氏は語る。その上でストライプインターナショナルは、様々なデータを統合してマーケティングに活用していきたいという更なる課題を抱えていた。その課題に合致したソリューションがKARTE Datahubだ。
オンラインの接客最適化のためにマーケターがKARTE上で作成したセグメント情報をプライベートDMPに送ることができ、逆に店舗での購買情報などのDMPにあるデータを、Datahubを介してKARTEに送り、オンライン接客の最適化に使うという動きも可能だ。情報をクロスしてオンラインとオフラインのデータをシームレスにつなげ、アクションに活用することができるのがDatahubの特徴だ。
たとえば、「Aさんが店舗ではあまり買っていない」というDMPのデータと、「AさんがECサイトではたくさん買っている」というKARTEのデータを掛け合わせてユーザーセグメントを作る。そのセグメントに基づいて来店を促すDMを送ってあげると、オンラインのデータを活用しているのでDMの内容に説得力を持たせることができ、Aさんが店頭に足を運びたくなるような仕掛けを作ることができる。
逆に、店舗でたくさん買ってくれているがECサイトはあまり回遊してくれないBさんのセグメントに基づいて、KARTEから「いつも店舗でたくさん買ってくれてありがとう!」といった内容のクーポンを送ってあげると、ECサイトへの来訪を促せる。
また、Datahubは商品マスターやコーディネートのデータなどをインプットすることで、レコメンドの実施やコーディネートのパーソナライズ、ランキングの表示、カート落ちのパーソナライズといったアクションをワンストップに実行できる仕組みも備えている。単にデータを溜める箱ではなく、アクショナブルなユーザーデータベースであるという点が特徴だ。
現在、アプリ向けSDKの導入を検討しているという榎本氏。SDKを入れることで顧客の位置情報が取得でき、顧客が店舗の近くに来たら来店を促すという接客もできるようになる。
「Datahubを介することでデータを一ヵ所に集めやすくなり、顧客接点を「人軸」で捉えて最適な顧客体験を提供できるようになると捉えています。今まではオンライン接客の最適化に力を入れてきましたが、今後はアプリや店舗のデータも活用して、オンラインとオフラインいずれの接客もKARTEで最適化していけると考えています」(榎本氏)