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日本のゲームアプリにチャンスあり!JoyPac×エウレカスタジオが語る、中国進出のメリット

 近年著しい伸びを見せている、中国のモバイルゲーム市場。その中で「日本企業にもチャンスがある」と語るのは、JoyPacでアジアのカジュアルゲームアプリの中国進出を支援する劉 幸(りゅう・こう)氏。本記事では、JoyPacがどのような支援を行っているのか、そして実際に彼らの支援を受けて成果を残しているエウレカスタジオの馬場紘弥氏に、具体的な取り組みの内容について話をうかがった。

中国進出すべき3つの理由

――はじめに、JoyPacがどういった企業か説明いただけますか。

劉:JoyPacは2018年5月に設立した会社です。デンマークのコペンハーゲンと、中国・北京にオフィスを構えており、ヨーロッパ圏とアジア圏のカジュアルゲームの中国進出をサポートしています。

JoyPac パブリッシュアライアンスパブリッシャー 劉幸(りゅう・こう)氏
JoyPac パブリッシュアライアンスパブリッシャー 劉 幸(りゅう・こう)氏

 実は我々が初めて中国進出のお手伝いをしたのは日本のタイトルでした。それ以降、15タイトルのリリースを支援しており、その内の14タイトルは日本のディベロッパーが開発したものになっています。支援したアプリのインストール数も、中国現地のiOSアプリのみで1,700万を超えており、日本のカジュアルゲームの中国進出における実績を積み上げることができたと考えています。

――カジュアルゲームアプリの中国進出を支援しているとのことですが、日本のカジュアルゲームディベロッパーが中国に進出するとどういったメリットがあるのでしょうか。

劉:実は今、日本のカジュアルゲームが中国に進出するのに非常に良い環境で、そこには3つの理由があります。

 1つ目は、中国のiOS市場が盛り上がっており、カジュアルゲームがトレンドになっているからです。ランキングを見ても、トップ100の25%以上がカジュアルゲームとなっています。

 2つ目は、新規アドネットワークが乱立していて、収益性が高くなっているためです。新規に参入したアドネットワークの場合、市場シェアを拡大するため高単価でアプリ内の広告在庫を買い付けるのでアプリディベロッパーに高い広告収益が入ってきます。ちなみに中国のeCPM(effective Cost Per Mille)は、アメリカや日本とほとんど変わらない状況で、中国の人口が多いことを考えれば非常に大きな収益を得るチャンスがあるのは明らかです。

 3つ目は、中国人と日本人の持つ文化的な背景が似てきているからです。中国現地の人の中で、子どもの頃から日本のアニメなどを親しむ傾向が強くなっており、日本のゲーム文化やおもしろさを理解する環境が広がりつつあります。これは日本ならではのチャンスと言えるのではないでしょうか。

中国語対応してないのにインストール増

――確かに、海外展開する際は各国の文化に合わせたローカライズが求められますが、そこの手間が少なくて済むのですね。続いて、今回JoyPac支援のもと中国進出に成功したエウレカスタジオの代表取締役社長である馬場さんにもお話をうかがいたいと思います。先に会社と提供しているアプリの内容をご紹介いただけますか。

馬場:エウレカスタジオは2018年4月に私が一人で創業した会社で、モバイルアプリの企画およびリリースを行っています。

エウレカスタジオ株式会社 代表取締役 馬場紘弥
エウレカスタジオ株式会社 代表取締役 馬場 紘弥氏

 JoyPacには「仕事サボる!」「学校サボる!」というアプリのiOS版の中国進出を支援していただいています。両ゲームともに、幅広い層に遊んでもらえる脱出ゲームとなっています。

 これまで、脱出ゲームのアプリの多くは3Dグラフィックで謎解きを楽しむような内容が多かったのですが、謎解きというよりは見て楽しいと思ってもらえることを重視して制作しています。子どもや女性の方などからも好評で、従来の脱出ゲームより幅広いユーザー層を獲得できていると考えています。

――今回JoyPac協力のもと、iOSアプリの中国進出に成功したとのことですが、なぜ中国に進出しようと考えたのでしょうか。

馬場:会社を立ち上げる前にいた出版社時代にアプリを考えリリースしていたのですが、あるとき謎のインストールがあることに気づいたんです。調べてみると、APK(Android Application Package)ファイルが勝手に盗用され中国のストアに掲載されていたんです。しかも、そこからのインストールがものすごく多かった。アプリは日本語にしか対応していなかったにもかかわらず、中国の多くの方々に使っていただいていることに驚きを覚えたと同時に、ビジネスチャンスを感じました。

iOSのインストール獲得に課題

――中国進出を成功させるために、JoyPacをパートナーに選んだ理由はなんですか。

馬場:Androidアプリの進出に関しては、他社支援のもとパブリッシングを行い、200~300万のインストールを獲得していました。しかし、自らパブリッシングしていたiOSのアプリでは、インストールを獲得できていませんでした。そこで、iOSアプリの中国進出支援に実績を持つ、JoyPacにお願いすることにしました。

 また、JoyPacは中国にパブリッシングするところだけでなく、どのようにしてインストール数を伸ばし、マネタイズしていくかの設計まで任せられるところにも好感を持てました。

ローカライズからマネタイズまで一貫した支援を

――JoyPacでは、具体的にどのようなサポートをされたのでしょうか。

劉:リリース後は、中国現地で各種SDKを導入するなど技術面のローカライズを行い、その後はアドネットワーク経由のプロモーションと、「TikTok」など中国で影響力の大きい媒体と連動した動画プロモーションを仕掛けました。これらのプロモーションにかかる全てのコストは当社で先に負担しまして、月末に得られた全体収益の中からその分の金額を引いた上で収益をシェアする形態になっています。

 マネタイズの部分も現地のSDKの実装だけでなく、媒体との単価交渉なども担当しています。このように中国進出に欠かせないローカライズからマネタイズまで一貫したサポートを行うことで、中国現地での収益性を高めることが可能になります。

――サポートする上で意識していることはありますか。

劉:ランキングを上位に引き上げることは常に意識しています。日本のタイトルは中国ユーザーに認知されるとダウンロードされやすいので、上位に食い込めばオーガニックでユーザーを増加させやすくなります。「学校サボる!」、「会社サボる!」は、プロモーションとオーガニックで取得したユーザーの割合が、6対4となっています。

 あとはJoyPacの分析チームがプロモーションデータを解析して、CPIのコントロール、良い媒体の選択を行ってプロモーションの効果を最適化させています。

中国進出で得られた成果とは?

――JoyPacとの取り組みによって得られた成果を教えてください。

馬場:日本、韓国、台湾の売上と、中国の売上が同じになるくらい中国市場での売上を成長させることができました。取り組みを行う前と比較しても2倍近い数字になっています。

劉: 2018年12月に「学校サボる!」を中国でリリースした後、2019年1月に正式にプロモーションを開始したのですが、1月中旬から2月中旬までの1日の平均インストール数が約13万(中国iOS市場のみ)で、一番多いときは1日で21万ということもありました。中国の無料ゲームランキングでも3位にランクインしました。

 収益も、同期間における1日の平均売上は約3万8000ドルとなり、当社の中でも売上が高いタイトルです。各アドネットワークに対して強さを広められたので、非常に高い単価でJoyPacタイトルのトラフィックを買収してくれました。

 「学校サボる!」のタイトルにより、当社の支援しているアプリの2019年1月におけるインストール数は1,000万を達成し、中国トップ4に入るゲームパブリッシャーに成長できました(App Annie調査より)。

――今回の成果をどのように捉えていますか。

馬場:元々100~150万ほどのインストール数だったのですが、JoyPacの支援のおかげで500万ほど増加し、現在は累計700万インストールを突破しました。今回の取り組みでアプリの価値も高まり、そのアプリを作った人物として紹介される機会も増えたことで、エンジニアの求人などに良い影響を及ぼしてくれました。

リリース前から中国前を踏まえた開発を

――今後の中国進出における展望を教えてください。また、他のアプリ企業にアドバイスできる点があればお願いします。

馬場:今回JoyPacと一緒に施策を行ってみて、多くの中国の方に当社のアプリが受け入れられることがわかりました。これまでは日本のユーザーのことだけ考えてアプリの開発・運営に取り組んでいましたが、今後はリリース前から中国を含めたグローバルへの展開を見据えて開発していきたいです。

 アドバイスとして言えることとしては、パートナー選びには気を付けてほしいですね。中国市場は確かにチャンスがあります。ただ、独自で進出するのは難しく、パートナーによるサポートが必須だと思います。しかしながら、悪徳な支援会社もあると聞いているので、慎重に選定するべきです。中でもJoyPacは今回含め信頼できる実績を持っている企業だと思うので、相談してみると良いと思います。

劉:エウレカスタジオ様はもちろん、これからも日本のゲームディベロッパーのカジュアルゲームにおける中国進出をサポートしていきたいです。今回の「学校サボる!」の事例を通じて、日本のカジュアルゲームの中国進出を支援する企業として成功事例を作ることができました。今後もこのような事例を作っていけるよう、引き続き支援していきたいと考えています。

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/05/10 10:00 https://markezine.jp/article/detail/30704