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MarkeZine Day 2025 Retail

定期誌『MarkeZine』特集

最適化された体験のためならなんでもする ファミリーマートの小売変革

1つで何役も担う戦略の要「ファミペイ」

――御社では既に「ファミリーマートアプリ」を提供しているかと思いますが、それをリニューアルするということでしょうか。

 形式的には現行アプリのリニューアルになりますが、気持ちはゼロからまったく違うデジタルサービスを作ろうとしています。それが「ファミペイ」です。今の「ファミリーマートアプリ」をまったく別物にする形で大きくリニューアルをかけ、今夏のローンチに向けて開発を進めています。

――「ファミペイ」は決済にも対応したアプリになると思いますが、なぜ決済にも対応しようと考えたのでしょうか。

 まず、スマートフォン上でサービスを利用するのが当たり前の時代になり、国としてもキャッシュレス化を進めていることが背景にあります。小売は最もお財布を出していただく機会の多い業態です。もし、お財布の代わりにスマートフォンが使われることが増えるならば、ファミリーマートでの決済に最も適した手段を提供する必要があると考えました。

 また、ファミペイの提供を通じて、販促面のコストを効率化したいと考えています。これまでのポイントなどのCRMの仕組みや外部の広告を使ったクーポン配信ではROIが合わなかった。アプリであれば、ファミリーマートの利用者に直接クーポンを送ることができ、コスト効率が非常に良いと考えています。キャッシュレス時代におけるお財布に頼らない最適なお買い物体験を提供する。効率的にお客様と最適なコミュニケーションをとる。この2つが実現できるアプリの提供を目指し現在開発を進めています。

――「ファミペイ」利用者はどのような機能を使えるのでしょうか。

 基本的な機能としては、バーコード決済機能に加え、クーポンや電子レシート機能が搭載されています。2019年秋からは、複数の共通ポイントサービスと連携したポイントカード機能も追加予定です。最初はアプリに電子マネーをチャージしてもらうプリペイド型でのサービス提供となりますが、チャージがされていれば、バーコードを読み取るだけで、クーポン利用、ポイント獲得、決済をワンストップで終わらせることができます。他にもファミリーマートをご利用いただくお客様に便利でお得と思ってもらえる機能とコンテンツを用意していく予定です。

自社独自の価値を出しつつ、選択肢を残す

――ファミペイを提供することは、御社の掲げるオープン主義に反するようにも思えたのですが、他決済サービスとの関わりについてはどのように考えていますか。

 もちろん我々としては、「ファミペイ」を「PayPay」や「LINE Pay」などの決済サービスに負けないサービスにしようと言う思いで開発していますが、どのサービスが魅力的かを決めるのはお客様です。「ファミペイ」を使ってもらうために、他のサービスを排除するといったことをファミリーマートはしません。お客様の選択肢を増やすために、他社サービスに加えて自分達でも「ファミペイ」を提供していこうとすることが、オープン主義に反するとは思いません。

 よく、「ファミペイ」での他の決済サービスとの差別化ポイントや特徴などを尋ねられますが、他社サービスがどうかは意識していません。重要なのはファミリーマートのお客様視点でのサービス提供です。「ファミリーマートで買い物するなら『ファミペイ』が一番便利だよね」と言っていただけるサービスを第一に考え、開発しています。そこを追求していくことで「ファミペイ」の独自性が強くなり、結果的に差別化にもつながります。

――オープン主義を守り他の選択肢を残しながら、独自のサービスでより利便性を高めていくということですね。

 社長の澤田はよく「プライベートブランドだけの店になってはダメだ」と言っています。メーカー様の魅力的な商品も大事に品揃えすることがとても重要ということです。プライベートブランドも全力でお客様に選んでもらえるような商品開発を進めていますが、もちろんメーカー様が提供するナショナルブランドの商品が良いというお客様もたくさんいらっしゃいます。どちらを選ぶかはお客様が決めること。デジタル活用も一緒で、お客様目線で様々な選択肢を創り出すことが、最も重要です。

――「ファミペイ」のローンチ後は、何を指標に提供していくのでしょうか。

 まずは何よりアプリのダウンロード数です。アクティブ率については、実店舗でのコミュニケーションを通じて、じっくりと利用を促すことで向上できると考えています。たとえば、ダウンロードしただけで使っていないというお客様には、「地域密着」の考え方の通り、それぞれの店舗のお客様に寄り添ってお声がけをしていくことも可能です。そこは実店舗を持つことの圧倒的な強みです。ダウンロードにかけるコストも、既存の店頭販促を活用しながら、ダウンロード数を増やせるので、莫大な金額をかける必要はありません。

――店頭での販促とは、具体的にどういったことを行うのでしょうか。

 基本的には、現在行っているアナログなキャンペーンをデジタルにシフトさせていきます。たとえば、紙のレシートクーポンを「ファミペイ」アプリの中で提供するといったことですね。どうしても紙のクーポンが良いという方は別ですが、デジタルに利便性を感じる方には使ってもらうきっかけになるはずです。

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お客様を置き去りにしないデジタル化を

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/26 17:37 https://markezine.jp/article/detail/30865

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