ECで使えるクーポンを店舗で配布
原嶋:店舗で購入しようとした商品が在庫切れだった方に向けて、EC購入時の送料が無料になるクーポンを配布する施策を行われていましたよね。まさしく実店舗とECをつなぐ施策だと思うのですが、どのような結果が出たのでしょうか。
宮澤:4店舗でテストしたのですが、クーポンの平均利用率は普段配布しているものに比べて高い数値が出ました。クーポンは店舗ごとに分けて作成し、どの店舗で配布されたものが実際に使われたのか計測できるようにしました。つまり、各店舗のEC貢献度を可視化したんです。

宮澤:このキャンペーンはECへの送客が目的なので、店舗の売上には計上されません。そうなると店舗スタッフのモチベーションに直結しにくい。そのため貢献度を明確にし、評価軸に組み込んでいく必要がありました。こうした評価軸は、今後さらにブラッシュアップしていく必要があると考えています。
テクノロジー活用で店舗の購買体験を劇的に改善
原嶋:店舗の在庫をアプリ上でリアルタイム表示させるなど、アプリと実店舗の連携もしっかりされていますよね。
宮澤:アプリに在庫表示機能を付けてから、あらかじめ在庫を確認して来店されるお客様が増えています。まずアプリ上である程度品定めし、在庫の有無を確認したうえでいらっしゃるので、購買率の向上につながっています。

宮澤:またアプリ上での行動データも蓄積しているので、それらの情報をもとにパーソナライズを進める予定です。
原嶋:店舗分析ソリューションを導入するなど、店舗内の顧客行動データも取得しているんですよね。
宮澤:はい。現在2店舗に導入しています。店舗内の行動データを分析し、最初に取り組んだのはシフト調整でした。データを見ると、ランチタイムにスタッフが一気に減るタイミングで、わかりやすく売上が落ちていたんです。接客リソースが減ると売上も減るのは、なんとなく感覚的にはわかっていたのですが、数値化されることで明確に因果関係があるとわかりました。
原嶋:店舗内の施策もデータドリブンで行えるようになったのは大きな収穫ですね。最後に、今後の展望を伺えますか?
宮澤:今後は、フィッティング時の情報も蓄積していこうと考えています。当社では5年間NPS調査を実施しているのですが、フィッティングを体験された方のNPS値は高く、再来店率も向上する傾向にあります。
下着は肌に直接触れるものですから、お客様には心地よく身につけてほしい。蓄積したデータをもとに、フィッティングを通したおもてなしをより強化していきます。