コンテンツ提供で求められる今まで以上のスピード感
3月、筆者は米ラスベガスで開催された「Adobe Summit 2019」に初めて参加しました。このカンファレンスはAdobe Analytics、Adobe Target、Adobe Experience Managerなどのデジタルエクスペリエンス製品をテーマにした年次カンファレンスです。
初日の基調講演がマーケティングではなく、顧客体験の話で始まったことには驚かされましたが、後で調べてみると、アドビは2016年のAdobe Summitからエクスペリエンス(体験)をテーマにカンファレンスを開催していました。
カンファレンス全体を通して印象に残ったことは多々ありますが、ここで一つだけ挙げるとすると「コンテンツベロシティ」というキーワードになるでしょう。アドビはこの言葉を「より多くのコンテンツを迅速に作り出し、適切なターゲットに届け、パフォーマンスの結果につなげること」と定義しています。顧客体験の設計でコンテンツベロシティの視点はとても重要です。事例セッションで登壇した複数の企業のリーダーがスピードの重要性を指摘していました。
たとえば、Vans、Timberland、The Athlete's Foot、Platypus、Hype DC、SKECHERSなどのシューズブランドを擁するオーストラリアのフットウェア企業Accent Groupの事例セッションで、CDOを務めるMark Teperson氏は「今のようにオンラインとオフラインを行き来するお客様とのコミュニケーションでは、現在の3~5倍のデジタルコンテンツをタッチポイントから提供しなくてはならない」と述べています。
つまり、お客様がどこにいてもデジタルでつながることができる時代、店頭のVMD(Visual Merchandising、ディスプレイで視覚に訴えるマーケティング)や交通広告とFacebook広告を差し替えるスピード感はまったく違ったものが求められるということです。オフラインを中心にビジネスを展開する伝統的な企業ほど、お客様一人ひとりにデジタルコンテンツを提供するスピード感の重要性を改めて再認識してもらいたいと思います。