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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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定期誌『MarkeZine』特集

ロングセラーブランドが成長するために対応すべき3つの課題

抱えやすい3つの課題とそれを解決する選択肢

 ロングセラーブランドが抱えやすい課題、立ち行かなくなる要因は、主に次の3つがあります。対策とあわせて表にまとめましたので、ご参照ください。

図表2 
図表2 

 まず、長く習慣化して飽きられることが挙げられます。ユーザーのライフスタイルにおいてブランドが習慣化・定番化し、長く続くと次第に離反する、飽きとの闘いです。

 次に、ユーザーの高齢化ならびに若年層の獲得不足。ブランドの成長とともに初期のユーザーが高齢化し、元々の製品のポジショニングやブランドのパーセプション、ターゲット像のイメージ自体が古くなると、次世代のユーザーを取り込めません。どのブランドも年々若い顧客を獲得していかなければいずれ終わってしまうので、若年層の獲得はすべてのロングセラーブランドが直面する課題と言えます。

 そして最後は、新興勢力に新たな価値を提示され、陳腐化すること。自社ブランドと同じ顧客層を狙う競合でありながら、異なる訴求で新ブランドが切り込んでくると、ユーザーからは自社ブランドが陳腐化して見え、急激な離反が起こることがあります。

 この3点は当然、複合的に抱えやすく、悪循環が起きやすいです。たとえば、ユーザーが飽き始めたところに新興ブランドが攻めてくると、自社ブランドが急に古く見えてしまい、現在顧客だけでなくこれから取り込みたかった若年潜在顧客も奪われる……という例も少なくありません。では次から、対策にどのような選択肢があるかを解説します。

飽き対策には刺激 だがブランドのコアへの継続投資は必須

 1つ目の課題の飽きには、刺激を与えるのが最も簡単な解決方法です。製品レベルの限定フレーバー、限定パッケージ、などがそれにあたります。ユーザーは目新しいものだと手に取りますが、また定番に戻っていきます。「女性向け」「ダイエット用」などの絞ったターゲットに向けて新製品を開発することがよく行われます。ボリュームを増やし、市場を拡大する意図もあります。ひとつ上のレイヤーで、ブランドレベルで見ると、既存ブランドから派生させたサブブランドが飽きの対策としてリリースされることも多いです。

 ただし、いずれにしてもコア商品、コアブランドへの投資を忘れてはいけません。ロングセラーのまま持ちこたえているブランドは、上記のような刺激で目新しさを出しつつも、コアへの投資は惜しまず常にブラッシュアップを重ねています。

若年層獲得にはブランドの立ち位置と訴求見直し

 2つ目の課題に対しては、状況に応じて2つの策を講じることができます。まず、顧客とともにブランドが成熟し、本来のターゲットにフィットしていない場合。若年層には「おじさん/おばさん向け」と思われてしまっているので、ブランドのリポジショニングが必要です。20年前の20代と現代の20代とでは、当然ですが嗜好性もライフスタイルもまったく違うので、現代に合わせてプロダクトやサービスそのものを見直した上で、そのイメージに合致したコミュニケーションを図っていきます。

 プロダクトやサービスは時代に応じて刷新しているのに、新規顧客が獲れない場合は、彼らが「自分たち向けだ」と気づいていないことが多いです。従って、その点を調整したコミュニケーションが必要です。たとえば日清食品「カップヌードル」は、若い世代の関心を引く広告やキャンペーンでブランドの鮮度を保ち、常に若年層が流入するようにしています。

 ちなみにターゲットに商品がフィットしているか、それが正しく伝わっているかは、若年層に限らず常に調整が必要です。以前、私がコンサルティングを担当したあるコスメブランドは学生層から熱烈な支持がありましたが、彼女たちが卒業して社会人になり30代にさしかかるにつれて「もう私たち向けではない」と離れていきました。

 実はブランド側は、既存ユーザーに合わせて商品をアップデートしていたのですが、それに気づかれていなかったのです。そこでモニターインタビューなどで今の商品を見せたところ「意外といい!」と反応があり、広告にも今の彼女たちにフィットするタレントを起用したことで、V字回復を遂げました。

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新興勢力への対抗は既存ブランドとの距離感を測る

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この記事の著者

山口 義宏(ヤマグチ ヨシヒロ)

インサイトフォース株式会社 代表取締役
メーカーで戦略コンサルティング事業の事業部長、コンサルティング会社でブランドコンサルティングのデリバリー統括などを経て、2010年に企業のブランド・マーケティング領域特化の戦略コンサルティングファームのインサイトフォースを設立。BtoC~BtoB問わず企業/事業/商品・サービス...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/06/25 13:15 https://markezine.jp/article/detail/31340

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