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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

定期誌『MarkeZine』特集

食シーンを拡大してブランドを強固に 森永製菓「inゼリー」の戦略とは

意識するのはシーン別と次世代のユーザー育成

――「スポーツ」「忙しい朝」が軸だというお話がありましたが、その2つに対して、現在進めている事例があれば教えてください。

 「inゼリー」は飲料になるので、夏に最需要期が訪れ売上が伸び、秋冬に落ちる傾向があります。そこでお客様が離れがちな時期である冬から3、4月の春にかけてブランドを再認識してもらい、新規顧客を獲得できるかが重要になります。

 私たちはこの時期を年間のマーケティング起点として施策を検討しています。テレビCMや新聞などのマス広告はもちろん、交通広告、デジタルなど様々な媒体を使って「スポーツ」「忙しい朝」に関する訴求を行い、シーズンインのタイミングで一番インパクトが出せるようにしています。

 3、4月は新生活も始まるので「忙しい朝」というのがコミュニケーションの中心となるのですが、そこでは櫻井翔さんを起用して、テレビCMなどを出稿しています。

 「スポーツ」では、プロテニスプレーヤーの錦織圭選手をイメージキャラクターに起用したクリエイティブを出しています。彼は試合中に「inゼリー」を飲用してくれているので、その事実を広告に採用することが非常に強い訴求になります。スポーツ軸のプロモーションは、スポーツを実施しやすい環境になる秋冬に仕掛けることが多いですね。

――その他に注力しているマーケティング施策や、施策を実施する際に意識していることはありますか。

 広告は主に2つの考え方でプランニングしています。1つ目はシーンに合わせたコミュニケーション。先ほどお伝えした「スポーツ」「忙しい朝」に向けたものはこの考え方が中心になっています。

 そして2つ目は次世代の顧客育成です。若年層を中心に記憶に残りやすく、かつ商品に親和性が高いタイミングで飲んでもらうことを目指しています。具体的には、「受験」「部活動」「新社会人」の3つのテーマに絞ったプロモーションを行っています。

――主な食シーンの訴求はしっかり行いつつも、若者にフォーカスしたコミュニケーションをされているということですね。「受験」「部活動」「新社会人」それぞれにどのようなアプローチを試みたのでしょうか。

 「受験」については、2019年1月に、受験生を応援する企画「受験にinゼリー」として、テレビCMを放映しました。受験生を応援する広告の場合、単純に応援する内容では他商品と似たようなクリエイティブになってしまいます。そのため、「inゼリー」が一番役に立つオケージョンはどこかをチームで考えました。その結果、試験で緊張すると食べ物が喉を通らなくなるかもしれないので、そういったときでも飲んでもらえるという意味を込めて「その緊張を、エネルギーに。」というメッセージでクリエイティブを作りました。

 2つ目の「部活動」に対しては、「母校にinゼリー」キャンペーンを2016年から続けています。これは自分の母校の部活動に投票して当たれば「inゼリー」が母校の後輩に差し入れされるという企画です。部活生に飲んでもらいたいという想いと、学生時代に部活に打ち込んでいたOB・OGや親世代もひとすくいに、両者の架け橋となる企画になればと行っています。

 3つ目「新社会人」については、4月に新社会人応援企画「社会にinゼリー」を実施したところ、想像以上に反響をいただき、いくつかの情報番組に取り上げられPRにも貢献するものとなりました。

 特設サイトに、小学館の児童学習雑誌『小学一年生』とコラボレーションしたデジタル雑誌『社会人一年生』を公開しまして、抽選で当たった1,000人には、実物の「inゼリー」が特別付録に付いた雑誌版をプレゼントするという内容です。動画も作りまして、テレビCMで流した他、YouTube広告やSNS広告などデジタル上のプラットフォームでの広告配信にも活用しました。

デジタル雑誌『社会人一年生』の表紙
デジタル雑誌『社会人一年生』の表紙

――若者向けの施策以外に、新規顧客を生み出すために行っている施策はありますか。

 3年ほど前から、被災時の「備蓄」に関するメッセージを届けるために新聞広告を出稿しています。

 これは大地震などの災害が増えてきている状況で、被災時に「inゼリー」がお役に立てるのではと考え広告を始めました。「inゼリー」は栄養素別にラインアップされているため、被災生活時に不足しやすい栄養素を補うのに活用できます。その上、水が貴重になる中で「食器を使わなくて飲める」「冷やさなくてもおいしい」「手が汚れていても飲める」など、節水しながら栄養と水分がとれるので、これらのメリットをわかりやすいビジュアルで届けています。

 食品の多くは食シーンが想像しやすいものですが、「inゼリー」はパッケージを見ただけでは、どんなときに飲むべきかがわからない方もまだいらっしゃると思っています。だからこそ、様々な食シーンを見える化しないといけないと考えており、そのための手段としてデジタル・アナログを問わず様々な形でコミュニケーションを取っています。

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/06/25 13:30 https://markezine.jp/article/detail/31341

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