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ブランディングとダイレクトをつなぐ、CRMを超えたCEMとは

「見せかけのロイヤルティ」を生み出していませんか?企業が今、CEMに取り組むべき2つの理由


2つの疑問を解決する答えとは?

 マッキンゼー・アンド・カンパニーは、2009年に「The Consumer Decision Journey」という購買プロセスモデルを発表しています。それまでファネル型が主流だった購買モデルを更新し、購買後の体験まで考慮したループ型のモデルになっています。

 なぜ唐突にこのような紹介をしているかというと、このモデルの中の「Loyalty Loop」というフェーズが、先の2つの疑問に対する答えになりうるからです。

 消費者行動は「検討→購買→体験」というフェーズをたどります。この一連の消費体験が完了したのち、次の用事が発生したタイミングで再度検討段階に入るというのが通常の流れです。

 しかし、購買後の「体験」が好ましいものであれば、消費者は検討フェーズを経ずに購買に至るという「Loyalty Loop」に突入するのです。次も自社製品を購買してくれる可能性が高いのはもちろん、口コミや紹介、イベント参加などといったブランドに対する積極的な「関与」が生まれるのもLoyalty Loopの大きな特徴です。

 つまり、購買してくれるだけでなく、自社商品を周りに推奨してくれる「真のロイヤルユーザー」を生み出すのです。

 では、Loyalty Loopを生み出すためにマーケターができることはなんでしょうか? それは、購買の「後押し」と「体験のデザイン」だと言えるでしょう。

 「後押し」とは、冒頭でご説明した、「購買履歴やWebページ閲覧などの行動ログなどから消費者の『購買意図』を見つけ出し、購買を後押しする手法」のこと。もちろんこれは重要なマーケティング活動の1つです。

 しかし、Loyalty Loopにおいてはさらに重要となるのが「体験のデザイン」です。

 「体験のデザイン」とは、購買前、中、後の時間の中で消費者に良質な体験を提供し、ブランドへのロイヤルティを育むということ。ここでの「体験」とは、広告やメール、SNSなどへの接触、店舗やコールセンターでの会話、イベント参加など、顧客が企業と関わるすべてのチャネルにおける体験を指しています。

 先ほど述べた通り、近年マーケターの力は相対的に弱まってきています。そのため、購買検討フェーズにおいて企業側が消費者に与えられる影響は限定的と言わざるを得ません。

 そんな中で、マーケターに残された重要な仕事の1つが「体験のデザイン」だと言ってもよいでしょう。

CEM(Customer Experience/Engagement Management)というコンセプト

 購買前、中、後の顧客体験をデザインするために有用なコンセプトが、「CEM(Customer Experience/Engagement Management)」です。

 CEMは、CRM(Customer Relationship Management)の「R」を「E」に置き換えた言葉です。この「E」には「Experience(体験)」と「Engagement」の2つの意味が込められています。「Engagement」の定義は様々な議論がありますが、ここでは、「企業やブランドとの絆から生まれる顧客の積極的な関与」としておきます。

 つまり、「体験」を通してブランドの価値を伝え、顧客の「積極的な関与」を生み出し、結果として真のロイヤルユーザーを生み出すこと。それがCEMです。

 積極的な関与は、顧客の好ましい態度や連想を土台として生まれます。つまり、従来の購買意図だけを捉えるマーケティングから一歩踏み出し、氷山の下=態度や連想を変えるためのCRM活動を実現することが、「Loyalty Loop」を生み出すために重要なことなのです。

 次ページでは、CEMの設計に取り組む方法を具体的にご紹介します。

次のページ
CEMの設計に必要な3つのプロセス

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この記事の著者

園部 武義(ソノベ タケヨシ)

 株式会社オプト マーケティングマネジメント部 部長。通販業界で10年間、新規顧客獲得、CRM改善、物流改善などの業務を経験した後、2015年オプト入社。2019年より現職。コンサルタントとして心理データと行動データの組み合わせによるユーザー育成戦略とPDCAの高度化を推進。リアルとWEBを横断した顧客育成戦略の立...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/08/05 09:52 https://markezine.jp/article/detail/31531

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