レポーティングに割く時間は極力ゼロに近づける
もうひとつの置き換えは、広告費換算が代表的な指標だ。タイアップ記事を出稿した際の記事広告費と同等のPV数を目安に、「同じPVを得られたら同等の広告費をオウンドメディアの予算に投じてほしい」といった交渉は社内でも通りやすい。
ちなみに効果測定に関しては、「レポーティングに費やす時間は極力ゼロに近づけるほうがいい」と中山氏は指摘する。編集部の運営方法の点でも述べられたが、人的リソースが限られる中では、作業的な時間をできるだけ圧縮するのが成果を上げるひとつの近道だ。効果の可視化やレポーティングは、今では「MIERUCA」をはじめ自動化できるツールも増えているため、報告資料作成に数時間や半日を費やすならばツールに任せて“思考”の時間を多くするのが得策だ。
ここまで、BtoBのコンテンツマーケティングにおける4つの大きな課題と解決の提案が語られた。「それでも、うちの業界は特殊だから、キーワードが少ないから、専門知識が多くライティングの外注がしづらい、といったBtoBならではのコンテンツマーケティングのお悩みは尽きない。まだ、イマイチBtoBのコンテンツマーケティングのイメージが浮かばない方もいると思う」と中山氏。
そこで、中山氏のメディア運営やコンテンツ制作に関する豊富な実績を下に、非常にニッチな領域でコンテンツマーケティングをどう考えるか、ここからはニッチな領域を想定したコンテンツ企画のデモンストレーションが紹介された。
客観的な示唆に基づいてロジカルに成果を上げる
その領域とは「豊洲市場のマグロ専門仲卸」。直接的な顧客である居酒屋や料亭の魚仕入れ担当者に対し、どのようなアピールならお問い合せがくるか、あるいは自分が仕入れ担当ならどのような情報が欲しいか、と考えていく。
中山氏は「『自社の顧客=仕入れ担当者』にとって有益な情報を提供するだけでなく、その方々の顧客、つまりエンドユーザーである『お店に食べにくる一般顧客』のことまで考えると、一気にコンテンツの幅が広がるのでは」と提案する。
魚を仕入れるのは手段のひとつで、“目的”ではない。目的は「集客」と「顧客満足」ひいては「店の繁盛」だ。そのために仲卸が提供しうる情報について、中山氏はたとえば「繁盛店とそうでない店との仕入れの違い」「お客に話したい、酢飯に関するトリビア10」など複数の切り口を提示。
さらに「MIERUCA」を通して、客観的な検索で評価されているコンテンツやQ&Aページを分析。「歩留まり率(※仕入れた魚から筋や鱗を除いた何割が製品化できるか)」「計算」などのニーズが見えてきたので、「【5分で理解】仕入れ担当者が押さえるべき“歩留まり率の計算法”」「歩留まり率の良い魚介類まとめ」といった記事案を挙げた。「客観的なニーズ分析を元に発想すれば、そこまで外さないのでは」と中山氏。
BtoBのコンテンツマーケティングは、専門的な内容だけにハードルが高いと思われがちだが、ここまでの解説にあったように、ロジカルに積み上げることで一定の成果が見込める。ポイントは、今回のセッションでも存分に実感できたように、どれだけ具体的なユーザー像とそのユーザーが求めている内容を想定できるかだろう。ユーザーが実際に検索しているキーワードの分析は、コンテンツ企画に役立つ様々な示唆を得られる。その点で「MIERUCA」はツールとして役に立つ。
さらに、定期的に開催されているMIERUCAユーザー会では、同じ悩みを抱えるユーザー同士で活発な情報交換も行われている。「ツール」と「横のつながり」がコンテンツマーケティングを推進する大きな味方になるはずだ。