レベニューモデルにおいて「顧客ステージの設計」が果たす意義
――先ほど出た「顧客ステージ」ですが、どのように設計すべきか、そのポイントを教えてください。
全体的なレベニューモデルでは「商談」としてくくっていますが、これを細分化するのが顧客ステージの設計になります。この顧客ステージは、先ほどのリサイクルで説明したとおり、各工程でフローと残高を管理してボトルネックを把握し、対策を打つために非常に大切な概念になります。
設計のポイントは2つ。1つは、各ステージがどういう状態にあるのかを定義すること。もう1つは、次のステージの遷移条件を明確にすることです。たとえば展示会で集めたリードが資料をダウンロードしたら「次のステージに進んだ」と考えるわけです。
結局、マーケティングも営業活動も、究極的には「リードに次のステージに移行してもらう」ことにあります。AならAという状態、Bはこういう状態と定義し、その移行条件を明確にしておくことで、施策が打ちやすくなるのです。
THE MODELの実践は「ゼロの状態」から考えよう
――THE MODELを実践するには、まずどこから着手すればよいのでしょうか。

まずは「誰もいない状態から出発点を考える」ことから始めてみてください。私が講師を務めたセミナーで、「ある有名ベンダーの日本法人社長になったと仮定して、新規に10人採用する場合、どういう人材を採用したらいいか」というエクササイズを出したことがあります。こういう思考が役立つかもしれません。
ある種、マーケティングも営業もいないのに売れていくという状態は理想かもしれませんが、それは不可能なので、そうすると「営業が必要だ」となります。そして営業担当者が活躍するにあたり、突き当たる壁に何があるかを考えていきます。そうすると、カスタマーサクセスなり、インサイドセールスなりが必要になってきます。
大切なのは、職種という箱ではなく、「なぜその職種を必要とするのか」という目的から考えることです。スタートアップだとしたら、最初から共業するのではなく、5人なら5人の社員が、最初から最後まで顧客に向き合うことを経験するのもお勧めです。全部の工程を一人でフォローする機会は、めったにないチャンスです。どういう経緯をたどって顧客になるかを確認することは、いい経験になるはずです。