SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第100号(2024年4月号)
特集「24社に聞く、経営構想におけるマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

MarkeZine Day 2019 Autumn(AD)

ユーザーの課題解決と営業促進を両立 日立製作所が挑む、事業に貢献するコーポレートサイト構築

以前のコーポレートサイトが使いにくかった根本的な理由

 構築にあたって、様々な分析を行ったそうだが、実際にユーザーのWebサイト内での行動を解析したところ、当時のWebサイトではユーザーの振る舞いが期待通りではないことも明らかになった。

 たとえば直帰率を見ると、月間40〜50%がそのまま直帰してしまう。ひどい時には直帰率が60%に上ることもあった。これが意味するのは、「日立製作所のコーポレートサイトが、ユーザーにとって、情報収集に貢献していない」という事実だ。実際、先述したように家電情報の収集をしようとしたユーザーが多かったが、検索キーワードを見ると、家電の品名や型番、マニュアルが上位にあることが判明したという。

 米山氏がまず目指したのは、抜本的な情報構造の見直しだ。昨今の企業サイトは、会社の情報であればコーポレートサイトに集約し、製品の情報であれば別にドメインを取って専門サイトを立ち上げ、そちらに製品情報を集約スタイルが多い。

 これに対しそれまでの日立製作所のWebサイトでは、情報が適度に分散せず、すべてを1つに集約させており、そのせいでユーザーは欲しい情報をかえって探しにくくなっていた。これに対し、米山氏が掲げた目標が「シンプル化」だ。

 もう1つ、「情報を探しにくい」という面を解消するために模索したのがレコメンド機能だ。ECサイトでは普通に使われているレコメンド機能だが、この機能が搭載されているBtoBサイトは少ない。最も、ECサイトの場合、過去の購買履歴や閲覧履歴をもとにユーザーが欲する情報を提示するが、BtoBのコーポレートサイトの場合、そうした蓄積データをもとにレコメンドを行うのが難しいという側面もある。だがもし実現できれば、ユーザーにとって快適なWebサイトになることは間違いない。

 これと同時に、ユーザーが情報迷路に迷い込まないよう、知りたい情報の元へ、ページベースで誘導する仕組みを実装する検討も進めた。

匿名ユーザーへのパーソナライゼーションを実現するMarketo Engage

 目指すべきコーポレートサイトの方向性が徐々に固まりつつあるなか、課題となったのは、「やりたいことを実現するため、どんなデジタルツールを導入するべきか」ということだった。そこで社内の営業部門から紹介されたのが、アドビ システムズが提供する「Marketo Engage」だったという。

アドビ システムズ株式会社 マルケト事業担当 営業本部 水野 雅夫氏

 米山氏に先立ち登壇したアドビ システムズ マルケト事業担当 営業本部の水野雅夫氏によると、Marketo Engageは文字どおり「エンゲージメント」をコンセプトに、企業とユーザーとの長期的な関係構築を支援するソリューションだという。「より具体的にいえば、顧客体験を通して、企業の売上や利益向上に貢献することを謳っています」と水野氏は説明する。

 Marketo Engageのオプション機能の1つが「Webパーソナライゼーション」だ。これは、アクセスしてきた匿名ユーザーに対し、ドメインなど把握できる情報を活用して、関連性の高いコンテンツやパーソナライズドメッセージを届ける機能のこと。だが、これはあくまでオプション機能であり、Webパーソナライゼーションを利用するには、MAツールのMarketoの導入が必要だった。

 「私たちはブランド・コミュニケーション部門なので、営業活動を支援するMAツール本体は管轄外でした。ただ、やりたいことが実現できるのでどうしようか悩んでいたところ、日立製作所のIT分野の営業部門で、デジタルマーケティングに取り組んでいる部署があることを知り、そこに相談したのです」(米山氏)

投影資料より:クリックで拡大します

 米山氏が描いたのは、次のようなMarketoの利用イメージだ。コーポレートサイトでは、Marketo EngageのWebパーソナライゼーションを利用し、訪問してきたユーザーにより快適で、欲しい情報や事業部窓口に誘導できる仕組みを整える。一方受け手である事業部門では、Marketo本体を導入し、コーポレートサイトから誘導されてきたユーザーをとらまえて、事業部のマーケティング・営業活動につなげていく道筋を作る。こうすることで、コーポレートサイトのミッションである「事業にも貢献する」ことが実現できると考えた。

 2018年7月に、アドビ システムズから話を聞いた米山氏は、Marketo Engage本体の管理・運営をIT分野の営業部門に担わせ、Webパーソナライズ機能をブランド・コミュニケーション部本部が担うという分業体制で、自部門や関係部門を説得。予算も捻出し、同年10月からの導入を即断したという。

次のページ
BtoBコーポレートサイトで実現する、最適なパーソナライズ

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
関連リンク
MarkeZine Day 2019 Autumn連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2020/01/16 10:00 https://markezine.jp/article/detail/32078

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング