コンテンツをプラットフォームごとに最適化
昨今はオンラインとオフラインの融合が進んでおり、プラットフォームの分散が、特に若年層において顕著だ。プラットフォームが分散すると、リーチのためのコストも跳ね上がっていく。若年層のユーザーに使ってもらうことが重要なリクルートジョブズにとって、これは大きな課題だ。
同社では当初、テレビがプロモーションの中心にあり、テレビのために作られたコンテンツを各プラットフォームに転用していた。だが盛り上がりが一過性に終わってしまい、継続しないことが悩みであった。
「テレビCMは当然のことながら、作り方もデリバリーの仕方も、テレビというプラットフォームに最適化されたコンテンツです。しかしプラットフォームごとに生態系は異なるため、横への展開は簡単ではありません」と金井氏。「継続性のある仕組みづくりのためには、プラットフォームごとに徹底的に最適化することが必要なのではないかと考えました」(金井氏)
同社で各プラットフォームをどのようにとらえ、施策を行ったのか。金井氏はTwitter、Instagram、LINEの3つを例に説明した。
Twitterでは「母集団ごとに話題になりそうなコンテンツ」を開発する
金井氏は、Twitterを「ニュースのタイムラインで出来上がったプラットフォーム」と表現。
「Twitterでは興味・関心でつながったコミュニティーが存在し、情報が拡散していきます。そのため、母集団ごとに話題になりそうなコンテンツを開発すれば、その母集団の中で話題が起こり、拡散していくと考えました」(金井氏)
この考えのもと、同社はタウンワークの「激レアバイト」をTwitterで展開。魅力的なアルバイト案件を掲載し、閲覧したユーザーがリツイートしたくなる仕組みを作っているのだという。

Instagramは「人」が基軸
「一方、Instagramは人を基軸としたプラットフォームです。コンテンツそのものではなく、その人に対するファンの熱量がリアクションにつながります」(金井氏)
たとえば、あるあるネタで定評のある若手芸人の方は、投稿する動画に対するリアクション数が非常に高かった。彼女の魅力をきちんと引き出したコンテンツは拡がっていくのではないかと考えた同社は、居酒屋やカフェなどでのアルバイトの様子をリアルかつコミカルに描いた動画を展開した。その結果、大きな反響を得ることができたという。
だが最初からヒットしたわけではなく、一年くらいは鳴かず飛ばずの状態だったと金井氏は振り返る。地道にPDCAを回し続けた末に生まれたヒットだったのだ。なお、「人ではなくて動物を登場させても拡散するのではないか」と企画した動画については、期待したほどには拡散しなかった。このことからも、Instagramは人を基軸にした方が良いことを痛感したのだという。

LINEはチャット型UIを活かした仕組みを作る
「LINEの特徴は、チャット型のUIであることです。そしてメッセンジャーとして使われていること。LINEを通じたコミュニケーションには、このUIに適した仕組みを開発することが必要です」(金井氏)
同社では、タウンワーク公式アカウント(キャラクターは「ジョブーブ」)の他に、「フロム・エー ナビ」のパンダのキャラクター「パン田一郎」のアカウントも運営している。前者は求人情報の検索機能を、後者は機械学習による会話機能を優先させており、戦略が異なっている。「会話型のUIでは、誰と会話しているかが重要なため、キャラクターを立てています」と金井氏は説明する。
また、LINEにおけるチャットコミュニケーションで大事なのは、カスタマーの目的に沿ったコミュニケーションを行うことだという。一方的なチャットコミニュケーションでは離脱も多く、アクションを促したとしても動いてもらえないためだ。そのため、同社はカスタマーの目的に沿わないコミュニケーションはしない方針で機能提供し、リピートをしてもらうという仕組みを作っている。
