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元営業のレジェンドたちがインサイドセールスを担う

――先ほど、インサイドセールスも法人マーケティング本部に統合して本来の機能に変えていく、といったお話がありましたが、この成果ももう出ているのですか?

 そうですね。以前は「解約したい」と電話がかかってきて初めて動くという顧客“対応”に留まっていたのが、データを活用して“攻め”の活動ができるようになっています。たとえば、営業が「もうニーズを掘り尽くした、売るものがない」と考えていた企業でも、インサイドセールスのチームが行動分析を通して、営業が発見できていなかったニーズを見出して営業にトスアップし、新たな受注につながるケースなどが出てきています。

――マーケティングからインサイドセールス、さらに営業の連携に悩まれる企業も多いのですが、御社のインサイドセールスは円滑に運んでいるご様子ですね。どのような方が担っているのですか?

 それは我々の活動の肝でして、実は“レジェンド”と呼んでいる、40〜50代の手練れの元営業パーソンに中心になってもらっています。

――“レジェンド”ですか、なるほど! インサイドセールスは、直接営業に出る前の教育機関も兼ねて、若手が就くことも多いようですが。

 うちは逆ですね。なぜこうしているかというと、理由は大きく2つあります。ひとつは、RPAの活用しかり、iPhoneの全社員配布しかり、当社は基本的に業務のデジタル化がかなり進んでいるのですが、年齢が上になるほどどうしても最新のソリューションに後れを取ってしまい、前線に出るのが難しくなるからです。その点、インサイドセールスもデジタルツールの活用は当然ありますが、見るポイントさえ習得すれば、むしろトスアップする先の営業の気持ちを踏まえて的確にヒントを見出してもらえます。

 もうひとつは、彼らのモチベーションの維持・向上のためです。前述のように旧・日本テレコムとの合併で大きくなった会社なので、特に法人事業には30年選手の元営業パーソンがかなり多いんです。おそらく、コンシューマーユニットや技術ユニットなど当社の複数のユニットのうち、最も早く高齢化を迎えていると思います。

 一般的な会社では、たとえば営業とは関係ない負担の少ない部門や子会社などに動いてもらうことが多いでしょうが、今までの経験を活かせるならそれがいちばんいいと思うんですね。そういう場のひとつとしてはまったのが、インサイドセールスでした。

 シニア人材の活用の、これが最終的なソリューションにはならないと思っていますが、少なくともキャリアと関係ない子会社に行ってもらうようなことは、私が役員でいる限りはしません。他にも、デジタルセールスや公共のサービスを扱う部署など、フィールド以外で経験を活かせる場を開拓している最中です。

属人的な営業活動も科学的に実践できる

――とても興味深い取り組みです。

 今、とてもうまく回っていますね。私もラウンドテーブルミーティングで直接レジェンドの皆さんと話したのですが、とても充実して業務にあたってもらっていますね。我々は基本的にサブスクリプションのビジネスなので、インサイドセールスとカスタマーサクセスを両方担うような部署になっていますが、これまで様々なパターンに相対してきた経験値は重要です。

 営業の経験値はこれまで属人的なものでしたが、デジタルツールを介すれば、営業を“科学”することができる。そうなったら素晴らしいですよね。

 ちなみに、小さいお子さんがいる元営業の女性に経験を活かしてもらうべく、今年1月にはインサイドセールスの拠点にキッズスペースを開設して、活気づいています。今後は、ここで新卒の最初の営業研修も行うつもりです。ベテランのアドバイスを受けながら営業の実務に触れることは、フィールドに出たときに必ず役に立つと思います。

――「遅れていた」と評されていた営業の領域も、今後は相当なスピードでデジタル化が進みそうですね。最後にうかがいますが、デジタルを力に営業機会を生み出す最前線にいる現場の方々を、経営側としてどう支援していくお考えですか?

 我々も四苦八苦している最中で、道筋はまだ見えていませんが、当社は常に新しいことを積極的に取り入れてきて、どんな動きも少しずつ早かったことが現場にも好影響をもたらしていると思います。たとえば社内動画チャンネル「BizTV」は2012年に開設し、動画専門チームが展示会レポートや顧客事例を常時アップしていて、視聴率80%の大型コンテンツもあるほどです。また、グループにWeWorkJapanがあり、フィールドの営業は各拠点を使っていますが、社内のフリーアドレス制は15年前から試していました。

 業務自体のデジタル化はもちろんですが、働きやすさもデジタルによって大きく変わります。デジタルでマーケティングと営業をさらに進化させ、今後も会社が成長したらその分社員に還元していきたいと思います。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

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MarkeZine(マーケジン)
2019/11/25 17:17 https://markezine.jp/article/detail/32344

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