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Salesforceで実現するDX最前線(AD)

「CX最適化」に必要なこと/セールスフォースがIT人材育成に注力する理由

 セールスフォース・ドットコムは2019年4月、日本企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の支援体制を強化する目的で、パートナー企業の拡充を目指す新たなプログラム「DXアクセラレーション」を発表。本連載では、マーケティング市場におけるSalesforceビジネス拡大の背景とSalesforceパートナーになるメリットについてひも解いていく。初回はSalesforce Marketing Cloudの事業責任者を務める笹俊文氏に、同社が目指すDX支援の在り方と、求めるパートナー像について聞いた。

セールスフォースが目指すのは「CXの最適化」

――2014年、One to Oneマーケティングを実現するプラットフォーム「Salesforce Marketing Cloud(以下 、Marketing Cloud)」が日本市場に登場しました。現在6年目となり、マーケターには一定の認知と理解を獲得しているかと思います。

笹:いや、そうでもないんですよ。まだまだ課題があると感じています。

株式会社セールスフォース・ドットコム 専務執行役員 ジェネラルマネージャ デジタルマーケティング・ビジネスユニット 兼 クラウドセールス 兼 韓国リージョン 笹 俊文氏
株式会社セールスフォース・ドットコム 専務執行役員
ジェネラルマネージャ デジタルマーケティング・ビジネスユニット 兼
クラウドセールス 兼 韓国リージョン 笹 俊文氏

――えっ、意外です。それは、SFAのイメージが強いから、マーケター向けのソリューション提供ベンダーと思われていない、といったことですか?

笹:なんていうんでしょう、セールスフォース・ドットコム(以下、セールスフォース)や「Marketing Cloud」自体の認知、One to Oneマーケティングを支援するソリューションだということは、ある程度は知っていただいているのかなと思います。

 ただ、セールスフォースが掲げるビジョンと、実際にサポートできる範囲については、まだあまり知られていないと感じています。私たちは、単にマーケティング効率化のお手伝いをするのではなく、企業と顧客とのあらゆる接点をマネジメントする、カスタマーエクスペリエンスを最適化することを目指しています。そのお手伝いをするのが「Marketing Cloud」であり、「Service Cloud」「Commerce Cloud」です。これらを一気通貫で活用していただくことで、企業は顧客を全方位で把握し、適切な“おもてなし”を実現することができます。

 昨年、新たなソリューションとして「Customer 360」を発表しましたが、概念的にも顧客を360°で捉えて常に接点を持つことは、私たちが掲げている大きなチャレンジです

CX担当役員を置いているのは数%に留まる

――その御社が目指す世界観と、それをサポートできるベンダーであるということが知られていない?

笹:そうですね。今後はもっと、そうしたビジョンを打ち出していかなくてはと思っているところです。同時に、この世界観は私たち1社では到底実現できないので、それに一緒に取り組んでいただけるパートナー企業をまさに今大幅に増やしているところなのです。

 なぜ1社では無理かというと、このような壮大なマーケティング……というか、マーケティングとも括れないかもしれないですね、オンラインとオフラインを当たり前に行き来するようになった顧客を全方位で捉え、接点を持ち続けて長期的によりよい関係を築いていくためには、非常に長いサポートが必要だからです。長期視点が大事なのは、LTVの考え方が重視されつつあることからもわかりますね。

――なるほど。いわゆる業務システムベンダーのように、導入期だけ集中して立ち上げて、走り始めたら手を離す、といった形を取りにくいと。

笹:その通りです。実際、「Marketing Cloud」を日本上陸初期の4~5年前から導入してくださっている企業とは、今なお長いお付き合いをしていますし、組織体制を含めてマーケティング部門に留まらない大きな変革を進められている企業もあります。CMOを置くことはもちろん、CDO(Chief Digital Officer)だったり、より「顧客視点ですべての企業活動を見直す」という点に注力している企業ですとCX担当役員やCRM担当役員を置いたりしていますね。とはいえ、そうした企業はまだまだ少ないのが現状です。

――割合としては、どのくらい?

笹:「Marketing Cloud」導入企業の10分の1が、顧客視点での“おもてなし”が最適になるように組織や人材配置を改革するという方向へ舵を切っています。さらに、メールもモバイルもアプリも、もっというと店舗も広告も一気通貫で主幹する担当役員を置いているのはその半分、つまり20分の1くらいですね。「Marketing Cloud」を導入いただいている企業の中で、5%くらいです。

セールスフォース・ドットコムでは現在、ビジョンに共感し、併走していただけるパートナー企業を募集しています。詳しい情報は以下よりご確認ください。

セールスフォース・ドットコムのパートナープログラム

「顧客視点」ですべての接点を見直す必要性

――「Marketing Cloud」を導入している企業の中で5%ということは、本当にまだまだ「顧客視点ですべての企業活動を見直す」ことができていない企業が大半だということなんですね。

笹:そう思いますね。課題としてはさすがに顕在化していて焦りがあるけれど、何から手をつけていいのかわからない。デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)が急務だと言われ始めて数年経っていますが、手をこまねいているうちに、部長や役員クラスの年代の方々も自分自身の生活が変わり始めているので、危機感は増していると思います。

 たとえば、あるブランドのオンラインショップを見ると、矢継ぎ早にレコメンドのバナー広告やメールが飛んでくる。なのにその内容を踏まえて店舗に行くと、ここまでのアプローチがまるでなかったかのような対応を受けたりします。当然、顧客の感じ方としては、ちょっと不満を抱きますよね。

――“あるある”ですね。

笹:どのチャネルで接触されても、私は私なのに、と。そうした生活者の変化を踏まえて、「Marketing Cloud」もここ数年でどんどん進化させています。たとえば接触するチャネルをオンラインからオフラインまで網羅したり、「Service Cloud」との連携でデジタルだけでなくカスタマーサービスセンターとも情報共有して電話でアプローチできたり、などですね。

 ただ、そうした一気通貫の顧客体験を実現できている企業は、前述のようにまだまだ一部分です。なので、これから変わりたい企業に一緒に伴走していただけるパートナー企業を切実に求めているんです

企業のDX支援には伴走してくれるパートナーが不可欠

――それが、この4月に発表されたパートナー拡充のためのプログラム「DXアクセラレーション」を立ち上げられた背景なんですね。

笹:そうなんです。理想像は、当社のソリューション導入のスキルがあるSIパートナーとタッグを組み、クライアント企業の支援にともに取り組んでいくことです。パートナー企業も得意分野がそれぞれ違いますし、クライアント企業の課題やフェーズによっても支援の注力点が変わってきますから、各社の強みを生かしながら柔軟に組むことを模索しています。

 あらゆる企業に対応できるよう、パートナー企業のエコシステムを築くことが、私たちの第一段階の目標としています。

――今、パートナー企業は何社くらいなのですか?

笹:「Marketing Cloud」を扱える、デジタルマーケティングに明るいパートナー企業というとまだ10社程度ですね。「Marketing Cloud」の導入企業は現在年間で100社近く増加しているペースなんです。仮に各社に対して3人のエキスパートが常時伴走するとなると、それだけで膨大な数のエキスパート(エンジニア)が必要になってきます。

 ただ現実問題として、SIパートナーの数や守備範囲というよりも、ITエンジニアの数が極めて少ないということがあります。なので、SI企業の大きな悩みである人材育成にも注力しています。

セールスフォース・ドットコムでは現在、ビジョンに共感し、併走していただけるパートナー企業を募集しています。詳しい情報は以下よりご確認ください。

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無料のオンライン学習サービスで人材育成をサポート

――具体的に、どのような人材育成支援をしているのですか?

笹:元々、各領域や製品ごとにSalesforce認定資格を設けていて、座学講習を中心に取得支援をしてきました。ただ、それだけでは抜本的に新規エンジニアの数を増やすことは難しいです。

 今、より必要なのは、他の職種からのキャリアチェンジによって、IT人材が増えることです。そのため、3年ほど前に無料のオンライン学習サービス「Trailhead」を立ち上げました。通常、業務外で企業向けのソリューションサービスを扱う機会はなかなかないですが、「Trailhead」では「Marketing Cloud」やその他の当社製品を実際に触りながら、順を追って学習することができます。学生や主婦の方など、まったくの初心者からでもスタートでき、Salesforce認定資格取得の道も開かれています。

――パートナー企業が、自社のまだ経験の浅いエンジニアにこうしたツールで勉強してもらえれば、育成コストも抑えられるわけですね。

笹:はい、IT人材の確保と育成コストという大きな課題に対して、技術習得しやすい環境を整えることは、当社ができる一手だと考えています。また、中堅中小規模のSI企業においては、仮に「Marketing Cloud」活用支援に習熟したとしても、継続的に仕事を獲得できるかどうかは大きな懸念事項の一つだと思います。そこで既存の大手パートナーと新規パートナーがタッグを組んでひとつの案件に当たれる「パートナーマッチング制度」を設けて、ナレッジの共有と継続的な仕事の創出を支援しています。

Trailheadの画面。様々な学習プログラムが段階を踏んで学べるほか、コミュニティで質問したりイベント等に参加したりすることも可能。
Trailheadの画面。様々な学習プログラムが段階を踏んで学べるほか、コミュニティで質問したりイベント等に参加したりすることも可能。

最適な顧客体験をともに創造していく

――パートナー企業を増やすために、パートナー企業の課題である人材や案件獲得までをフォローされているんですね。

笹:それほど、私たちにとって「パートナー企業/エンジニアの不足」という課題が大きく、本腰を入れて取り組む必要があるということなんです。

 同時に、パートナー企業のバラエティも必要です。たとえば、以前の広告は不特定多数向けの手法でしたが、今では個人を特定できなくても「このiPhoneとこのiPadは同一人物が使っている」などがわかりますよね。さらにサードパーティーデータを掛け合わせると、子どもがいるかどうかなどのパーソナル情報もわかる。

 そのため、アドテクとマーテクが融合しつつあります。同時に、アドとダイレクトキャンペーンを融合する流れもあります。ただ、これら融合する領域を1社でカバーするのは難しいので、それぞれの強みを発揮していただきたいのです。

――では、ずばりパートナー企業に求めることは?

笹:特定の領域に強みをもっていることはもちろんですが、組ませていただく上でいちばん大事だと思っているのは、やはり冒頭で申し上げた私たちの目指す世界観に共感いただき、それを共有してクライアント企業に伴走していただけることです

 今、デジタルマーケティング支援の市場は“ツール論”から“チーム論”になりつつあります。適切なツール選びの何十倍も、それをちゃんと機能させられるチーム編成が重要になってきているのです。それを踏まえて、クライアント企業のその先にいるお客様にいかにすばらしい体験を届けられるか、という点に一緒に取り組めるパートナー企業さんとぜひ出会いたいと思います。

セールスフォース・ドットコムでは現在、ビジョンに共感し、併走していただけるパートナー企業を募集しています。詳しい情報は以下よりご確認ください。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/01/09 10:08 https://markezine.jp/article/detail/32388