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人を知るには自己理解から マーケティングの本質を追求する力を磨く方法とは

人の情動は今も昔も変わらない

 また、主にデジタル化による各所の変化は、これまでできなかった可視化や効率化を可能にしたことのインパクトが大きいため、変化したことばかりフォーカスされがちだ。しかし目立つ変化をひとくくりにせず、その現象の解像度を高めることで、見えることが違ってくる。

 変わったと思われる事象も、分け入ってみると「それでも変わらない人間の本質」が浮かび上がってくるのだ。

 富永氏の主張は、人が何をしたらうれしいか、あるいは悲しいかという人間の情動や人間らしい特性は、そうそう変わらないということ。

 「だからこそ、今の時代なら人にどんな働きかけをしたらどんなリアクションが返ってきそうか、それこそ中村さんがいわれるように仮説を立てて検証していくことが、マーケティングの本質なんです。私がいう“変わらなさ”とはそうした人間の脳や心に関することで、それ以外の外側はいろんなことが変わっています。前述の二項対立や変化にばかり目が行きがちだという問題を踏まえて、本質と革新を考えることが重要です」(富永氏)

 中村氏も同意し、「人を理解することは今も今後も、マーケターとして必須の事項」と強調する。

 「変わっているのは、外的環境を含めたコンテキスト。この時代のコンテキストの理解と構築のためにも、人を理解するところから外れてはいけないと思います」(中村氏)

 では、マーケティングの本質である“人間理解”の力を、どのように深めればいいのだろうか? 山口氏の問いかけに、富永氏は「観察と感情移入。プラス、妄想」と答える。

 商品やサービスが使用される現場に足を運び、ユーザーがそれを選んで使う理由を考え、次に自分が一連の行動をトレースして「どんな気持ちになるか」と自己観察を繰り返すと、妄想でできるようになるという。書籍から行動経済学や脳科学を学ぶのも有効だ。

マーケティングの本質は“人間理解”

 中村氏は「インサイトをつかむ」というキーワードを提示する。普段から身近に接している家族や友人は、聞かなくても欲しいものや求めることがわかる。同じように、ユーザーに対してもそんな肌感を持てるくらい深く知り、ビジネス課題に引き当てていく。そんな力が中村氏の定義する“インサイト把握”の力だ。

 「他人を理解するのは本当に難しい。人間の情動や反応を知るのがマーケティングの本質なら、富永さんのいわれるようにまずは自分を解像度高く知らなければ、他人を理解できないのでは? 自分の感情や行動を深く理解するほど、他人への推察も深くなる」と山口氏。

 その前提で、どのように自分の解像度を高めるかという問いに対して中村氏は「観察と両輪で、やはり行動経済学などの勉強を怠らないこと」と答える。また、人とのすべてのコミュニケーションを“認知や態度変容の機会”と捉えて会話するのも身になるという。

 また富永氏は、自己理解について「意図と行動はワンセット」と提示する。常に自分の行動を振り返り、その意図を言語化できていない部分まで解明することで、意図と行動の結び付けが習慣になる。同時に、街の広告などからクリエイターの意図とアウトプットの連鎖を思い描いてみると、意図と行動のひも付けが自分の思考に立体的に定着していく。

 「マーケティングの本質」という大きなテーマの下に展開された本セッション。最後に参加者へのメッセージとして、中村氏は「マーケティングは考えることから始まる創造の仕事。自分自身が楽しむことを念頭に置いてもらえれば」、富永氏は「自分や周りを無用にカテゴライズせず、唯一無二の個人として何に興味があり、何をしたら楽しいのか、自分の心に耳を傾けて仕事をすることが大事」と、エールを送った。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/01/30 14:55 https://markezine.jp/article/detail/32789

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