Web接客での“失敗あるある”はリアル店舗と同じ
MZ:旅行や保険というと、まさにリアル店舗で資料をもらっていたような業種ですね。そうした分野で、Web上で適切に接客したい意向が高まっていると。
北洞:そうですね。リアル店舗だと、やはり店員さんの臨機応変な問いかけや積極的なアプローチで興味喚起したり、お得な情報を提供したりもできますが、Webにただ情報を載せているだけだとユーザー自身が必要な情報を探さないといけないので、ユーザーにとっての機会損失も発生しやすいです。それに、自分で調べるのは疲れてしまう部分もあるので、離脱も多くなります。なので、そういったときの道案内になり得る機能は確実に必要になってくると思います。
MZ:その一方で、たとえばポップアップが出すぎるとうるさく感じるなど、逆効果になるケースもありますか?
北洞:はい、効果が出ない要因のひとつは「出しすぎ」ですね。たとえば、来訪した瞬間にクーポンを出すのはクーポンの認知としては正しくても、リアル店舗で考えると、欲しいものがあるのかもまだわからないのに入口の手前で割引券を配るような状態です。それよりも、店内に入ってしばらく見ている方、購買を迷っていそうな方に渡すほうが喜ばれますよね。
逆に、接客のタイミングを絞り込みすぎて、ほとんどWeb接客が働かないこともあります。すると効果が実感できず、自社に合わないといった誤解につながってしまうので、最初は前述のように「来訪して少し回遊した人」「滞在時間が長めの人」にある程度のボリュームで提示できるように設定し、その効果を踏まえて徐々に細かなセグメントに分けるほうが効果を最大化しやすいとアドバイスさせていただいています。
LTV向上を見据えたシナリオ設計に注目
MZ:ecコンシェルの場合、シナリオ設計もサポートを得られるのですか?
北洞:事例数が多いので効果が上がった他社さんのケースを紹介したり、個別に相談することも多いです。顧客体験の向上という点ではリアル店舗と同じなので、基本的に「リアル店舗ならこういうことをして差し上げたい」と思うことをシナリオ化してWebに実装すると、うまくいくことが多いですね。また最近では単発のコンバージョンではなく、LTV向上を目指したシナリオにも注目が高まっているので、その部分の知見も蓄積している最中です。
MZ:最後に、Web接客ツールをビジネス成果に結びつけるために大切な点と、ecコンシェルの今後の展望をうかがえますか?
北洞:やはり、マーケティングツールは運用してPDCAを回すことで成果が高まっていくので、導入後をよく想定し、またトライアルでもいろいろな機能を試して検討することが大事です。ツールの機能に加えて、ツール提供社のノウハウやサポート体制はもちろん、担当者との相性も意外と継続性を左右すると思います。
ecコンシェルとしては、冒頭でも触れましたがNTTドコモとしてコミュニケーションを円滑にする考えが根底にあるので、Web接客だけでなく、リアル店舗との連携も視野に入れて総合的に顧客体験を向上するご支援をしていきたいですね。