テレビCMは、作品を愛するファンのために
――続いて、4周年プロジェクトにおける、テレビCMの役割を教えてください。
仁田:前提としてテレビCMは、複合的なプロモーションの中の、1つのパーツと考えています。そのうえで、2つの役割がありました。
1つは、これまでタガタメを応援してくださっている既存のユーザー様にも向けたCMだったことです。感情のKPIと呼んでいるのですが、自分の好きなゲームが4周年を迎えて、気持ちも盛り上がっているところにテレビCMが流れていたら、遊んでいる方の感情はさらに高まります。数値化できない部分ではありますが目には見えないKPIをもう一つ意識しています。また、ログイン率が低いユーザーや、休眠ユーザーにも、もう1度プレイしていただきたいと考えていました。
冨永:ユーザーの皆さんへアンケートを行うと、「テレビCMを見たい」とおっしゃる方は多いのです。「なぜファン層へわざわざテレビCMを?」と思われるかもしれませんが、好きなゲームのテレビCMは、流行を証明するものであり、新規ユーザーが増える期待感や運営側の力の入れ方が伝わりますので、ユーザー様の満足度が高まるのです。
仁田:テレビCMのもう1つの役割は、オンライン広告のKPIの後押しです。オンライン広告のみで大量の新規ユーザー獲得を目指すと、CPIの効率が悪くなる傾向があります。しかし、テレビCMやOOHなどのオフライン広告でリーチ領域を広げ、接触回数、フリークエンシーを高めると、媒体によっては想定CPIが大きく改善される、間接的な効果が見られます。数字をもとに確実に言い切れるわけではないのですが、相応のオンライン予算を投下する勝負機はテレビCMにはKPI全体を改善する役割も意識し出稿計画と連動させています。
これはそれぞれの方の考え方があると思いますが、私はここまでの経験で新規リリース時を除いて、テレビCMは既存ユーザーだけでなく認知ユーザーをプッシュする役目もありますし、逆に特にターゲットがセグメントされるプロダクトはテレビCMだけで新規ニーズを起こし、購買やアクションにつなげるのは、難しいのではないかと考えています。
制作期間10日でテレビCMを制作できた理由
――今回、なぜデジタルマーケティング専門のD2C RへテレビCMの制作を依頼されたのでしょうか。
仁田:スピーディーな制作体制と、タガタメとユーザー感情への深い理解です。じつは、テレビCMの企画が具体化したのは、1月20日頃でした。また、2月1日のファンミーティングの場でテレビCMの初公開を予定していたため、制作期間は10日ほどしかなかったのです。
冨永:それでもスタジオのマーケとして諦めたくなかったので「作品への理解が深く、私たちと同じ目線で考え、スピーディーに作り上げてくださるのはD2C Rさんしかいない!」となり、お願いしました。
――制作日数が大変短い中でしたが、D2C Rでは、どのような工夫をし、制作されたのでしょうか。
渡邊:まずは、冨永さんが描かれた絵コンテをベースに考えました。スキップができる動画広告の場合は、目線を1秒止めることも難しいため、冒頭0秒で注意を引きつけるメインの情報を設計します。一方テレビCMは、じっくりと見ていただけますから、起承転結のストーリー、世界観の訴求、そして「何が起きるんだろう?」とユーザーが喜ぶような内容を重視しました。
川合:また、これまでタガタメの広告クリエイティブを制作してきたこともあり、ユーザーに刺さるクリエイティブの傾向も把握出来ておりました。それらの経験を今回のCMのデザインや世界観へ活かしています。
仁田:D2C Rさんにお願いして1番良かったと感じたのは、ゲームアプリのテレビCMにとって最も大切な、ゲーム画面のシーンです。私たちが具体的に指定しなくとも、既存ユーザーが納得し、新規ユーザーにも心に残る、ゲームの世界観を伝える最適なシーンとセリフを検討している間に自主的に提案してくださいました。もちろん業務として助かったのですがそれ以上にそのシーンは、本当にゲームのことがわかっていなければ、今回の訴求点が理解できていなければ提案いただけないものでしたので、チームとして取り組めている一体感と安心、信頼を再確認できました。