柔軟性のあるテレビバイイングへ
――最後に、SASの今後の展開について教えてください。
改めてお伝えしますと、日本テレビは、タイムやスポット、そして広告主や広告会社とのつながりを大切にしています。その姿勢が変わることは、ありません。一方で、視聴者の態度変容やマーケティングの変化、アドテクノロジーの発展とともに、CMへのニーズが変わってきていることは事実です。日本テレビの営業局は、総合営業センターを置き、一人の営業担当が、タイム、スポット、SAS、そしてデジタルや事業の枠もセールスするセンター制に、組織を変えました。広告主のニーズにアジャストし続けていく、その受け皿の選択肢のひとつにSASもなりました。

SASは、リリースから複数年で計画を立てており、まずはこの2年で少しずつ認知が広がり、枠ファインダへのアクセスも伸びてきました。年末年始特番などのプレミアムコンテンツ枠をオークション形式でセールスしたり、放送直前のCM枠を対象としたSAS+(スマート・アド・セールス・プラス)という新商品も登場させています。新しい取り組みについても広告主や広告会社からご評価をいただけていること、それだけでもすごいことだと感じています。また、SASで新たにテレビ広告を始められ、テレビ広告の力をご評価いただき、継続購入していただいたばかりか、さらにはタイムを提供された広告主もいて、嬉しい結果も出始めています。
今後も注力していくことは、データです。SASにご協力いただいているデータベンダーのデータの他、日本テレビでも分析を進める視聴ログなど、様々なデータでCM枠の価値を証明していきたいです。さらに、データの使い方も考えなくてはいけません。バイイングの最適化にはどのようなデータが適しているのか、その研究も必要です。そして、引き続き海外の事例も参考に、良い商品があったら柔軟に取り入れたいですね。これからも変化していく広告主のニーズに合うよう、関係各所の意見もうかがいながら、SASを改修していきます。デジタルとリニアの統合バイイングについて、SASと枠ファインダの座組で取り組めることをさらに推し進め、2020年度中には、皆さまへ新たな選択肢をご提案したいと考えています。