時流に合わせた施策で他のアプリへの流入を防ぐ
――今回の取り組みでは、どのような結果が得られましたか。
原田:2月末の指名キーワード配信開始時から好調な推移を見せ、1週間でインストール数が2倍に向上、CPIは20%改善し、CPD7も53%抑制できました。
また広告予算のアロケーションを行い、配信開始時点で全体シェアが3%だったASAを、翌月には27%まで引き上げました。その結果、取り組み開始前と比べてASA経由のインストール数が30倍向上、CPIは48%低下、CPD7は66%低下しました。
さらに各キーワードの母数が増え、インプシェアが拡大。これにより、他のアプリへの流出を低減できました。
2月末頃から自宅で過ごす時間が増えたことで、漫画アプリの指名キーワード検索が伸びていることをお話しましたが、その時流に合わせた施策を展開できたことで、早い段階で結果を出すことができたのではないかと思っています。
木根渕:アプリ単位でも作品単位でも指名検索が伸びたことで、ストアの占有率を上げることができました。過去にはなかった伸び率で、ランキングでも常に上位をキープできたことは驚きでした。
コントロール性やLTVの高さが魅力的なASA
――インストール数が大きく向上したんですね。ASAを経由したユーザーと他媒体を経由したユーザーにはどのような違いがありますか。
安立:ASAは、他媒体と比較し、ダウンロードから継続期間が経過するほど(7日、14日、30日と期間が伸びるほど)継続率が高い傾向にあり、獲得したユーザーが多く残存してくれるという特徴があります。MAUベースで30日後までの継続率を見ていますが、他の媒体だと残存率が約2割。それに対し、ASA残存ユーザーは約3割ほどなので、LTVの高い媒体といえるのではないでしょうか。
――木根渕さんは今回の取り組みから、何か気づきはありましたか。また今後、ASAをどのように活用していきたいか教えてください。
木根渕:今回、時期を見て指名キーワードの追加ができたことで、コントロール性の高い媒体だと感じました。他媒体とは異なり、時流やキャンペーンタイミングに合わせて自分たちから仕掛けられる可能性が見えてきました。
少年ジャンプ+は提供開始から今年9月で6年になります。紙媒体でお届けしていたコンテンツをアプリで楽しんでいただく体験が定着しつつあるだけでなく、『SPY×FAMILY(スパイファミリー)』(遠藤達哉・著)のようなアプリ発のヒット作品も増えています。こうした強みをさらに打ち出すとともに、ASAのようなLTVの高い媒体も有効に活用し、エンゲージメントの高いユーザーを増やしていきたいです。
――最後に、セプテーニさんから感想をお願いいたします。
原田:今回、世の中の漫画アプリのニーズの高まりに合わせた施策ができたと思っています。今後も、周年、年末企画やCM出稿時など、シーズナリティに沿った施策をご提案していければと思います。
安立:LTVの高いASAは、アプリを手掛ける企業においては、重要度の高いマーケティング施策だと思います。セプテーニでは単純にCPIだけを見るのではなく、LTVや継続率など、長期的なサービス拡大を視野に入れた設計や調整を日々細かく行っています。もちろんそれだけでなく、顧客企業のプロモーションの目的に合わせ、獲得したいユーザーにどう段階を踏んでアプローチするのが最適なのかを含め、今後もご支援させていただければと思います。