デジタルマーケの強靭な土台が、機会損失を防ぐ
――実際に変化を感じた場面はありますか?
束原:属人的にマーケティングを行っているという状態は、我々の関与する企業でよくあることなのですが、今回も特定の方に依存しすぎていたり、組織の判断としてやっていることが見えづらい状態であったりしました。しかし、今回のプロジェクトを通じてマーケティング部隊の動きが見えるようになり、経営層ともコミュニケーションが取りやすくなりました。
また、コロナ禍による自宅での学習意欲の高まりも影響し、現在アビタスの売上は過去最高にまで伸びているのですが、デジタルマーケティングの強靭な土台をつくっておいたことで、チャンスが訪れたときにどのくらい投資をすれば良いか分析できる状態が整っていたことがプラスに働いています。さらに、リアル施策中心だった頃には接点を持ちにくかった地方在住のお客様にも認知が広がり、オンライン説明会の地方からの参加者の割合が上昇していると聞いています。
安永:大切な局面にあっても機会損失を出すことなく進められている、というのが大きな成果ですね。施策実行のスピード感、効率という面でも、手応えを感じています。これは、パスメイクホールディングスのマーケティング・営業チームの方々の頑張りとハートラスさんのご支援により実現できているものだと考えております。
束原:社会に大きな変化が起こっている中、教育サービスの重要性は高まっています。そのためパスメイクホールディングス全体として、自社が提供する価値が時代にどれだけマッチしているかを訴求していくことが大事になりますし、それが世の中への貢献にもつながってくると思っています。
そのためには、サービスの質を向上させることを大前提に、まずは圧倒的な認知を得ることが必要です。今回アビタスで行ってきたことを横展開できるよう、標準化・体系化をもっと進めていくべきと考えています。
投資先企業のデジタル強化は、投資サイクルにおける「お通し」
――最後に、APさん、ハートラスさんの今後の展望を教えてください。
束原:当社では投資先へのDX支援に関して、業務効率化、デジタルマーケティング、そしてビジネスモデル変革につながるデジタライゼーションの3つの面から、議論を進めています。
投資先企業のデジタル強化は、今や投資サイクルにおける“お通し”のようなもので、投資後は必ずと言って良いほど支援をしています。最先端のものを導入するとともに、効果が検証されたものについては投資の段階からそのための予算を確保している状況です。
それだけでなく、まだ世の中で十分に知見が蓄積されていないもの、たとえばチャットボットやビデオ通話ツールといったインタラクション機能もいち早く取り込んで有効性を検証し、横に広げていこうと考えています。
安永:現在ハートラスさんとは、投資後にご一緒する関わり方がメインになっていますが、我々ファンドとしては投資前の検討を詳細に実施し、それを実行に移すことが非常に重要です。そのため今後は投資前から一緒に検討してもらって、次のアクションにつなげていくことも検討できればと考えています。
投資前から投資後にかけて一貫した運用を行い、それを仕組み化することができれば、投資先への新しい支援のあり方が見えるのではと想像しています。
高瀬:お2人がお話しされた領域に対して、私たちがどれだけ価値を提供できるかに尽きると思いますので、引き続き、アビタスさん、そしてパスメイクホールディングスさん全体のマーケティングの最適化をサポートさせていただきたいと思います。
また、今回インハウス支援についてご一緒させていただき、ビジネス全体を見た上でマーケティングを考えていくやり方によって、高い効果をご提供できると実感しました。弊社としても、今回のように上流から下流までをしっかり見られるポジションで参加させていただく機会を増やしていきます。