広告出稿&PRの方針
――一連の施策は、どのように告知されたのでしょうか。
通常、サービスリリース時は認知のためにかなりのコストをかけますが、今回は施策自体にコストをかけるために、広告費は最小限に留めようと思いました。行ったのは新聞広告への出稿1回くらい。朝日新聞がいち早くタブロイド判で『知る新型コロナ』という別刷り特集を企画されたので、唯一そこに出稿しました。
メッセージングに関しては、なるべく誇張した表現にならないように気をつけました。生活者のみなさんも一様に大変なことを抱えられている中で、「いいことに取り組んでいる会社ですよ」と自らアピールしているように見えないようにせねばと思いました。また、社員が今回の一連の施策に持っている「想い」を純度高く届けることが重要で、さらに1〜2日という限られた時間で制作する必要があったため、コピーも外部のクリエイターではなく、社内のメンバーが考えました。「がんばれ、こどもたち。がんばれ、大人たち。」というコピーには幼稚園や学校に行けなくてつらいこどもたちはもちろん、それを支える保護者の皆様へもエールを送りたい、という想いを込めました。自画自賛にならないよう気をつけつつも、事務的な連絡文書のようになりすぎないよう、バランスが難しかったですね。

本当に世の中にとって必要なものを準備することができているのならば、その話は人から人へと伝わるはずです。そのためPRに重点を置き、外出自粛下で視聴時間が増えているであろうテレビ、中でも報道・情報番組を中心に情報提供を行いました。
――デジタルでのコミュニケーションについてはいかがでしょうか?
コンテンツを利用された方に、自然発生的な口コミで広げていただきました。当初はSNSを活用して広げることも考えましたが、「困りごとを助けたい」という本来の目的から外れてはいけないと思いました。
一連の施策に関する告知とは別に、自粛生活によって大幅に視聴機会が増えたYouTubeにバンパー広告を出稿しました。4月の学校再開前に「そろそろ勉強しよう」という趣旨のコミカルな動画(#そろ勉しよシリーズ)です。実は先ほどお話した毎週の定点調査で「いくら声をかけても、子どもが勉強してくれない」「本当は何度も言いたくない」という保護者の悩みが届いていたので、私たちも代わりに伝えようと。ストレートに言っても聞いてもらえないので、かわいい動物の動画にアテレコするなど、相当数のパターンを用意しました。クリック数やSNSで反応の良かったクリエイティブに出稿を寄せるなどの改善をしていった結果、子どもたちの間で多くの反応をいただきました。