※本記事は、2020年7月25日刊行の定期誌『MarkeZine』55号に掲載したものです。
株式会社栃木サッカークラブ(Jリーグ所属「栃木SC」)取締役
マーケティング戦略部長 江藤美帆氏
米国にて大学卒業後、Microsoft、GoogleなどのIT企業勤務、起業などを経て、広告代理店在籍中にWebメディア「kakeru」を立ち上げ初代編集長に就任。その後同社にてスマホで写真が売れるアプリ「Snapmart」を企画開発。上場会社への事業譲渡後、スナップマート代表取締役に就任。2018年5月より現職。JリーグクラブのtoC向け事業(チケット・ファンクラブ・商品化等)を統括。
Q1.最近、いちばん感銘を受けた書籍とその理由は?
『ミーニング・ノート 1日3つ、チャンスを書くと進む道が見えてくる』(山田智恵著)です。
自己啓発書はあまり読まないのですが、ミーニング・ノートは実際に自分も試してみて絶大なる効果があったのでお勧めしたいです。著者である山田さんは、リーマンショックの影響で、勤めていたお父様の会社が民事再生を申請し、一家全員無職になるというとんでもない悲劇に見舞われるのですが「1日3つのチャンスを書き留める」というシンプルな方法でどんどんチャンスをモノにし、ほんの数年で一部上場企業の部長に昇進し、外資系スタートアップの取締役を務め、日本初のインスタグラム・マーケティングの書籍を出版します。
本書を読んで、私自身は半信半疑でミーニング・ノートをつけ始めたのですが、常日頃まったくチャンスとも思っていなかった些細な出来事が「チャンス」に見えたり、気分が落ち込むようなお客様からのクレームも「スパイシー・チャンス」として前向きに捉えられるようになったりと、心の持ち方が180度変わりました。コロナ禍で、日本中が大変な状況に置かれている今こそ、多くの方に読んでいただきたいと思います。
Q2.「マーケターならこれを読むべし!」という書籍とその理由は?
『シュガーマンのマーケティング30の法則お客がモノを買ってしまう心理的トリガーとは』(ジョセフ・シュガーマン著)です。
私がマーケティングを本格的に勉強したのは、日本で「禁煙セラピー」というコンテンツを普及するために自分自身で起業したことがきっかけでした。事業を始めた当初は「商品に力があれば必ず売れるはずだ」と思っていたのですが、どれだけ宣伝しても鳴かず飛ばず。そうこうしているうちに手持ちの資金がどんどん減っていき、毎日キャッシュアウトの不安で押し潰されそうになる中、藁をもすがる気持ちで空き時間は様々なマーケティングに関する書籍を読みあさっていました。その中で最も役に立った書籍が、この『シュガーマンのマーケティング30の法則』というアメリカのDRM(ダイレクト・レスポンス・マーケティング)の第一人者の著書でした。
DRMというと、ネットで情報商材の販売などに活用されていたこともあり「胡散臭い」とか「古い」と思われる方もいると思いますが、人がモノをつい買ってしまう心理は普遍のものです。この原理原則については、マーケターは「知っていたほうが良い」というレベルではなく「知らないとまずい」という類のことなので、サラッとでも読んでおいたほうが良いと思います。