※本記事は、2020年8月25日刊行の定期誌『MarkeZine』56号に掲載したものです。
店舗・オフィス・工場を負債と考えてみる
2020年6月19日、オリンピック・パラリンピック需要を期待していたはずのユニクロの旗艦店「UNIQLO TOKYO」が有楽町一等地にオープンしてしまった。同店舗には、最新トレンドを提案する全商品が存在し、それにRFIDタグの設置やレジの自動精算とオンライン連動など、超最新店頭テクノロジーが詰まった待ち受け店舗は、人々の視線を集める、いわばインプレッション特需期に向けた肝煎り施策として準備されていたのだろう。
どれだけ顧客に便利な技術を集めても、発想そのものが旧来型の「店舗に顧客を向かわせる」ことに向いている。この状態を、江戸時代における地方大名を弱らせる「参勤交代」とたとえてみた。店舗を設置するというのは、来店者の大名行列を期待する「道楽」か、過去を維持する負債かと思うほうが良い。
外出自粛の動きにともない、「実店舗」の価値が急速に変容しているのは明らかな状況で、急きょ既存の店舗小売業で流行っているのが「ダークストア」化だ。実店舗の対語だが、このコトバも単なるトレンドと思うと落とし穴がある。