資生堂、Amazon、CAがワンチームで高速PDCAを実現
MZ:では、具体的にどのような取り組みを行ったのか。教えてください。

浜野:ここが一番の肝だと思いますが、今回はワンチーム体制を組みました。Amazonは売り場とメディアの2つの顔を持っています。そのため、Amazon様のバイヤー部門並びに広告チームのお力を借りました。そして弊社の梶浦をはじめとしたブランドチーム、そして、サイバーエージェント様を含めた5者によるチームを立ち上げました。
この5者で週次のPDCAを回しています。実績の確認だけではなく、売場の状態、導線、販促プロモーションの細かいすり合わせにより、様々な仮説の立案と検証を繰り返してきました。また、推測したロジックで集客を広告、オーガニックに分けそれぞれのCVRや単価を分析することで、効果的な施策をディスカッションしてきました。
PDCAは短期的な改善には役立ちますが、大局的な観点が不足しがちです。そのため、1ヵ月・3ヵ月・半年スパンで長期的な方向性や新しい取り組みを議論する時間を作りました。こうすることで、常に短期と中期の目線で戦略のバランスを見てきました。
廣田:浜野さんがおっしゃっていた通り、今回の取り組みが上手くいったのは、資生堂ジャパン様、Amazon様、我々の3社の座組だったことが非常に大きいと考えています。3社でどういったプロダクトに重点を置くか、時期ごとの予算配分はどうするかなどを戦略的に話し合うことで、改善アクションのPDCAが回り、良い成果として表れてきたのだと思います。
擬態語、擬音語を取り入れたクリエイティブでCVRを向上
MZ:今回の座組で、梶浦さんをはじめとした、ブランドチームはどのような関わり方をしていたのでしょうか。
梶浦:我々は、Amazonが単に購入できる場所ではなく、ブランドの世界観や商品のベネフィットが伝わる場所としても機能させることを重点的に取り組んでいました。ブランドの立場からすると、ブランド体験をAmazon上でもきちんとしていただきたいという思いがあります。そのため、商品詳細ページの拡充をサイバーエージェントの中村さんと連携して行ってきました。
MZ:サイバーエージェントの中村さんにお聞きしますが、商品詳細ページの内容を拡充する際に、どのようなことを意識しましたか。
中村:梶浦さんのお話にあったように、ブランドの世界観や商品のベネフィットが伝わるクリエイティブを意識していました。店頭と違い、ECはテスターなどで試すことができないので、特に商品の特性が伝わるかどうかは意識していました。

販促革命センター ローカルテクノロジークリエイティブセンター
プランナー 中村 千尋氏
Amazonの商品詳細ページを作る際にA+(商品紹介コンテンツ)というサービスを使いながら、最適なクリエイティブの落とし込みを行ってきました。
廣田:Amazonはレビューが強いので、商品詳細ページの訴求と体験のミスマッチが起こると低評価のレビューが増えてしまいます。そのため、広告運用などのPDCAも大事なんですが、それと合わせて商品詳細ページの最適化が非常に重要になってきます。
浜野:今回の取り組みで得られた気づきとしておもしろかったのが、擬態語や擬音語を入れたクリエイティブのCVRが上がっていたことです。これはAmazon特有、もしくはEC全体なのかもしれませんが、クリエイティブのA/Bテストを繰り返し行うことで、Amazonとマジョリカ マジョルカブランドの世界観が一致するところを探し出すことができました。
MZ:ちなみに、マジョリカ マジョルカの世界観と商品特性を反映するために、具体的にどのようなクリエイティブを作ったのか教えてください。
中村:A+で良く使われるのがヘッダーと呼ばれる、横長のバナーなのですが、ここに商品の特性が伝わるコピーが入るようにしました。コピーには浜野さんからお話があった擬態語や擬音語を取り入れ、その他の画像でメイク前後のイメージを乗せるなど、感覚的に特性が伝わる工夫をクリエイティブに施しました。
