オンオフの接点を磨き続け、ついに自社ブランド事業が逆転
一方オンラインは、牟田口氏が5年前に入社してから大きく強化している分野だ。ホームページで会社や商品について説明するだけでなく、「タオルを作る人と使う人がつながる仕組みが必要」と考え、牟田口氏自ら、本社で製造に関わる人にインタビューし、連載「イケウチのヒト」を公開。大きな反響が寄せられた。
そのようなことから始まったのが、リアルイベント「今治オープンハウス」だ。全国から本社にファンが集まって工場を見学する体験イベントで、今治までの交通費と宿泊費に加え8,000円の参加費が必要と、ハードルはかなり高そうに見える。だが牟田口氏は「応募開始から1~2週間で満席になる、人気イベントになっています」と話す。
イベントに参加したファンはFacebookやTwitterなどで喜びの声をシェアしてくれる。メールで直に感想が届くこともあるそうだ。このような顧客コミュニケーションの効果があって、2018年、15年前までわずか1%だった自社ブランド事業が、ついにOEM事業を逆転した。
BtoBの利用増につながったオウンドメディア戦略
前述のマーケティング施策マップの各フローにおいて、「通常は購入で終わりかもしれないが、我々のタオルは長く使ってもらうことが大切」と牟田口氏。そのため「繋がる」を大切にしているという。
「繋がる」に関しては、1:1が原則のオフラインでは口コミの広がりに時間がかかることもあり、n:nで広がるオンラインも重視している。IKEUCHI ORGANICはホテルやレストランなどの事業者も重要な顧客であり、ここでのn:n施策として、オウンドメディア「イケウチな人たち。」を立ち上げた。テーマは「これからの豊かさを考える」で、IKEUCHI ORGANICのユーザーなどに登場してもらっている。
ライターもカメラマンもIKEUCHI ORGANICのファンで固めたというオウンドメディアは、既に効果が出ている。開始以来、同社のタオルを利用するレストランの数は10倍になったという。「レストランやホテルの間で、”IKEUCHI ORGANICのタオルはお客様に喜んでいただける”“売上に直結する”などの口コミが広がり、そこから様々な業態に広がっています」と、牟田口氏。自身もnoteで「おしぼりから選ぶレストランガイド」を作成していると明かした。
