コンテンツマーケティングの新潮流「オーディエンスビルディング」
ハウスクリーニングや靴・カバン修理などのプロを検索・予約できる職人のECプラットフォーム「YOURMYSTAR(ユアマイスター)」の快進撃が止まらない。同ドメイン内で展開するオウンドメディア「YOURMYSTAR STYLE(ユアマイスタースタイル)」でのSEO集客や、SNSでの情報発信で顧客と関係性を構築し、ECプラットフォームへの流入を増やしている。この1年で流入は3倍に、CVは6倍へと急増した。
同社が重視しているのは、「オーディエンスビルディング」の考え方だ。企業都合でサービスを売りつけるのではなく、まずはオーディエンスの役に立つ良質なコンテンツを出す。そして関係性を構築してビジネスゴールを達成していく、というマーケティングである。
ユアマイスタースタイル編集長の加瀬健吾氏は役に立つコンテンツの作り方、そして集客につなげるための秘訣をSNS、SEO、CVの3軸に分けて語った。
SNS投稿は圧倒的な高品質で競合に大差をつける
ユアマイスターが運営するInstagramのアカウントは22万フォロワーを突破、TikTokは11万フォロワーで人気アカウント9位(国内企業部門)に選ばれている。高評価のポイントは、「ユーザー目線を徹底的に追求しているところ」とFaber Company(ファベルカンパニー)の前田氏は分析している。
たとえば、「石鹸でスニーカーを洗ってみた」というInstagramの投稿でもユアマイスターではリアリティーとわかりやすさを追求。1つの投稿に10枚の写真を載せて、ユニークな工程が伝わるようにしているのだ。1投稿にかける作業時間は、一般企業の平均30分~1時間程度に対し、ユアマイスターは4時間と少々長いが、エンゲージメント率は圧倒的な高さを誇っている。
一方、TikTokで重要なのはトレンドとの掛け合わせ方。流行している楽曲や、話題になっているチャレンジ企画は毎日チェックしているという。さらに「TikTokのメインターゲットは20代。大人が作っても共感を得にくいので、若いスタッフに任せることが非常に大切」と加瀬氏は語る。同社はメンバーの8割以上が、25歳以下だという。
そしてInstagramとTikTokの両方で徹底しているのが、ハッシュタグの分析。競合アカウントを参考にし、分析ツールも駆使しながら傾向を把握している。ハッシュタグの数も多く、Instagramは上限の30個、TikTokは画面が埋まるギリギリの4~6個を付けるルールだ。