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NPS®ベースのPDCAサイクルで成功した楽天トラベル、カギは体制づくりとシステムにあり

成果が出ているケースは、アクションに時間をかけている

 楽天トラベルでもNPX Proを使ってアンケートの設定や集計、分析といった部分は自動化し、アクションに時間をかけることがNPS向上のキーポイントの1つだ。一方、停滞してしまっているケースとして、アンケートの集計や分析に時間がかかってしまい、アクションに時間をかけられていないことが挙げられる。

 NPX Proをうまく活用することで、タイミングを逃すことなく、複数のトランザクショナル調査を実行できる。NPXはアンケートの配信から分析、ダッシュボード表示、アラートの発出など単なるアンケートシステムとは違い改善アクションまでを支えるNPS改善に特化しており、楽天トラベルの改善活動をサポートしている。

顧客ロイヤルティの高いサービスを目指す 楽天トラベルのNPS活動

 では楽天トラベルではどのようにNPS活動を展開しているのか? 楽天トラベルの山本氏はNPS活動とは、「調査を起点に改善を実行すること」「改善活動が継続する企業文化を醸成すること」であると語る。

 サービスの改善には、不満の解消、強みの強化の2つのアプローチがあるというが、重視しているのは、不満の解消だ。その理由について山本氏は、「不満は批判者だけでなく中立者や推奨者も広く抱えていることが多く、施策をしたときにポジティブな効果を与えられる範囲が広いため」と説明した。

 最終的には、NPS活動を通じて「批判者と中立者を減らし、推奨者を増やすことで顧客ロイヤルティが高く、顧客基盤の強い事業になることを目指している」という。実際の活動としては、NPS調査、分析、施策立案、実行のサイクルを繰り返し回している。

 活動の起点となるNPS調査は、経営層向けの「リレーショナル調査」と現場向けの「トランザクショナル調査」の2種類を実施している。リレーショナル調査は年4回、楽天トラベルと競合他社の評価を調べて自社の立ち位置をおおまかに把握する、いわば”健康診断”。それとは対照的に、トランザクショナル調査は、月に1回、楽天トラベルの国内宿泊、海外宿泊、バス、レンタカーなど展開しているサービス種類ごとに細かく調査しているそうだ。

 「トランザクショナル調査は、リレーショナル調査からは得られない具体的な回答が集まりやすく、現場がアクションをとるために活用しやすい」と山本氏、2つの調査の組み合わせがポイントのようだ。

NPS活動がボトムアップで定着する組織づくり

 調査が終わると、早速定量と定性の両方から分析を進めていく。定量については、性別や年齢などのセグメント別にスコアをみて注力すべき層を見つけ、複数あるドライビングファクターから特にNPS向上に影響するものを検出し、優先的に取り組むべき領域の特定を行うという。

 数値面での分析に加え、コメント確認も重要な作業だ。NPS調査は、11段階で評価をした後、その評価をつけた理由を書いてもらっている。コメントは、施策立案の具体的なヒントになることが多く、1つずつ目を通して集計しているそうだ。

 調査結果を分析すると、顧客意見は大きく3種類に分けられる。1つは多くの顧客に共通する慢性的な「不満や要望」で、優先順位をつけて戦略的な施策立案につなげていく。一方、パーソナルな「個別クレーム」があった場合は、カスタマーサポートの部署などと連携して早急な対応を図る。また「お褒めの声」をいただいた場合は、社員のモチベーションを上げるために積極的に社内共有している。

 これらの調査から分析、施策立案へと一連の活動をきちんと回すために、楽天トラベルでは誰がその活動をリードするかという体制を重視している。

楽天株式会社
コマースカンパニー トラベル&モビリティ事業 品質管理室 品質管理企画グループ アシスタントマネージャー
山本 歩依氏

 「元々NPS活動は、私が所属する品質管理の部署を中心に進めていました。ただ、特定の部署で分析から施策立案まで完了させ、事業全体に施策を落とすかたちは効率的な面がある一方で、ボトムアップでNPS活動をする文化が醸成され難いと考えていました。そこで、国内宿泊、海外宿泊などサービス別に導入した7種類のトランザクショナル調査では、各サービスの現場に最も近い部署にそれぞれNPS担当者を配置することにしました」(山本氏)

 山本氏は楽天トラベル全体のNPS管理という立場で、各部署のNPS担当者と連携しながら活動の取りまとめをしている。山本氏が「活動に携わる人数が多い分、全体の管理や推進は簡単ではありません。それでも、NPS担当者を様々な部署に配置したことで、当事者意識が高まり、社内でNPS活動が活発に行われるようになっていきました」というように、体制は成功のカギを握っているといえそうだ。

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 Net Promoter®およびNPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。

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この記事の著者

末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

フリーライター

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/11/16 10:00 https://markezine.jp/article/detail/34516

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