視聴者の心理を反映したクリエイティブ制作が可能に
――調査にはどのくらいの時間がかかるのでしょうか?
冨岡:動画をアップロードすると、最短翌営業日には視聴者の反応がわかる仕組みとなっています。そしてここで得られた視聴者の反応を、心理レポートとして企業様に提供しています。細かく分析して、動画・テレビCM制作に活かしていただくことができます。
動画ファイルは完成後の動画やプロトタイプでもかまいませんし、動画になる前の絵コンテでもかまいません。当社にいるクリエイターが絵コンテを組み合わせて動画化し、ビデオコンテにします。それによって、動画化前の絵コンテの段階からターゲットリサーチが可能になります。
鈴木:これまでのリサーチツールと異なり、「PlayAds」はクリエイティブの制作過程に組み込まれることになるプロダクトです。企業のスピーディーな意思決定をサポートすべく、リサーチ結果の反映時間を大幅に短縮することを目指しました。
動画コンテンツのニーズは増えているものの、これまで動画制作過程ではもちろんのこと、その動画を露出した時点でも視聴者の反応(好意度や理解度)を充分に可視化することはなかなかできていませんでした。「PlayAds」は動画のリリース前にコンテンツの良し悪しを詳細に可視化できる画期的なプロダクトだと思います。
絵コンテ段階のラフを動画化し、視聴者の反応を確認
――ベネッセコーポレーションでは、どのように「PlayAds」を活用されたのでしょうか?
宮木:当社の場合、テレビCMについて活用を始め、絵コンテが上がった段階ですぐに調査を行いました。検証では「Good!」「Bad!」ボタンを設置し、動画の好意度を検証しました。
また、「なぜBad!だったのか」を知りたいと考え、「Bad!」ボタンを押した箇所について、その理由を自由記述してもらうアンケート欄も設けていただきました。
――たしかに、なぜBad!だったのかがわかると、今後のクリエイティブ制作にも活かせそうですね。どんなことがわかりましたか?
宮木:様々なことが見えてきましたが、大きな気づきがあったのは、動画内の「母親が台所から子どもに呼びかける」というカットの視聴者の反応でした。このカットにおける「Bad!」の値は、他のカットに比べて上昇していたのです。フリーアンサーからその理由を紐解くと、「母親だけが台所にいること」へのご意見が多数見受けられました。そこで、社内で表現の見直しについてすぐディスカッションすることになりました。
もちろん「Bad!」が多かったからといって、いきなり動画内の表現を変えるわけではありません。絵コンテ段階のものと、実際の映像では得られる反応も異なることは充分に理解しています。それでも、一秒ごとに「Good!」「Bad!」の比率が明らかになり、すばやくディスカッションできることは、大きな利点だと感じてます。