マーケティングとセールスを結ぶ「MA」
高畑氏いわく、MAとは「Webサイトへ訪れた見込み顧客の行動履歴データを基に、実名化を促進し、自動追客によってセールスを最適化するデータ・ドリブンツール」。様々な企業がMAを提供しているが、高畑氏が導入支援を行う「SATORI」は、日本のマーケットに適した国産のMAとして支持されている。
MAの代表的な機能は次の3つだ。
- Webフォームの入力から顧客情報をデータベース化
- シナリオによる自動メール配信
- 顧客行動の可視化とアラート
これらを組み合わせると、一連のマーケティング・セールス活動が自動化できる。たとえば、Webサイトフォームから問い合わせをした顧客が、後日メルマガからある資料をダウンロードしたとする。MAではその行動を受け、自動的にダウンロードした資料に関連するお役立ち情報メールを送り、追加の資料などを届けることが可能だ。また、「サイトを複数回閲覧」「メールをあまり見ない」など顧客の行動に合わせて、営業やマーケターが次のアクションを判断できるようなアラートも仕込める。
「MAは、セミナーなどのイベント集客から顧客のリスト化、追客、顧客行動の可視化、セールス活動まで、マーケティングとセールスの各フェーズを1本の線で結び、流れをコントロールする役割を担います」(高畑氏)
シーンごとに最適な施策を/MA活用事例5つ
続いて高畑氏は、MAを用いたマーケティング、セールス活動の事例を5つ紹介した。
1.セミナー申し込み者のフォロー自動化で、クロージングに集中!
集客においては、自社サイトや広告、SNSから情報を発信し、Webフォーム経由で申し込みを募るのが一般的だろう。MAを活用すると、セミナー実施日の3日前や当日、申し込み者に対しリマインドメールを自動的に配信することが可能だ。セミナー終了後は、アンケートや資料ダウンロードURLの案内も自動で行える。
また、セミナー後に配信するメールに反応した顧客にはタグという目印が付与され、「関心度の高い潜在顧客」として認識。価格表ページを複数回閲覧するなど、商談化につながるアクションにフラグを立てておき、その顧客がアクションしたら、セールス部門へアラートを出す設計も可能。これまでセールス部門が個別に対応していた領域が自動化され、クロージングに集中できるのだ。
2.セグメント機能で「顧客の検討に対する温度感」を見える化
MAの機能の一つに、Web上での特定のページへアクセスしたカスタマーをグルーピングし計測するセグメント機能がある。「セグメントのポイントは、顧客の“購買に対する検討の温度感”を見える化すること」と高畑氏。たとえば、顧客がサイト内の価格表やよくある質問ページなど契約前によく閲覧されているページを繰り返し見ている場合は、「情報を熱心に追っている購買意欲の高い顧客」と仮定できる。
また、目指すコンバージョンの1つ手前によく見られているページに接した顧客をセグメント設定しておくと、顧客の背中を押す、購買意欲を引き上げる施策を打つことが可能だ。
3.顧客のアクションへの一押しに!ポップアップ施策
また前述のセグメント設定は、ポップアップ施策で活かすことができる。たとえば「工場の見学申し込み」をコンバージョンとした場合、申込みに至る前によく見られているページを特定し、セグメント設定を行う。すると、ユーザーが特定のページを閲覧しているとき、ポップアップを表示し、工場見学への申し込みを促すことが可能だ。「ポップアップは使うタイミングが非常に大事で、誰にでも・いつでも表示させることは効果的ではありません」と高畑氏は説く。セグメントに適したタイミングで活用すると、顧客のアクションへの最後の一押しとなる。
4.商談後のメールのテンプレート化で業務効率化
商談後に送るメールは、テンプレートを設定しておくと、顧客との資料の共有などを迅速に行うことができ、俗人的なヌケ・モレが減り、業務の効率化につながる。また、「セールススキルの標準化」にもなると高畑氏。
「セールスによりメール作成の得手・不得手もあることでしょう。アクションにつながりやすいメールの文章を定型文として採用すると、セールス全員に知見が共有され、セールス組織としてのスキルアップにもつながります」(高畑氏)
5.匿名顧客の実名化を促すプッシュ通知
プッシュ通知は、匿名顧客に自社を思い出させる看板のようなものと考えることができる。高畑氏によると、プッシュ通知により3〜10%程度の顧客がサイトに戻ってくるという。「一度サイトを離れても、プッシュ通知で自社を思い出し、再訪につながることで、アプローチできるタイミングが生まれる。匿名顧客の実名化を促すメリットがあります」と高畑氏は述べた。