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社会課題に寄り添うパーパスドリブン・マーケティング マーケティングと企業理念を両立させるには

マーケティング臭がするとパーパスドリブンは嫌われる

MZ:若い世代だと、すばらしい理念の裏に利益優先のマーケティングがちらついたり、大したことのない取り組みをいかにも良いように見せかけるSDGsウォッシュが見えたりすると、拒否反応を示す人が多いと思います。新井先生、やはりZ世代はそういう感覚に敏感なのでしょうか?

新井:そうですね、マーケティングアレルギーというのがZ世代の特徴です。

 安藤先生がいま「精神論」とおっしゃいましたが、私はいま、この精神論が非常に重要視されていると思っていて、これを企業活動の評価軸にどう反映すべきか考えているんです。いわゆる財務諸表の評価基準とも異なり、またSNSのシェア数などとも異なる新しい基準で、そこでいま、まさにパラダイムシフトが起こっていると思います。

 その時、企業の評価軸として、売上や規模、利益率だけを見ていていいのかという問題も出ますし、逆に「私たちの知恵がまだそこに及んでいないから、精神論の軸が定まっていない」という見方もできます。私たちはこれから、新しい道を探していくことになるんでしょうね。

ひろもり:先ほどのスタバのストローの話題がありました。あれに関しては環境負荷に対する貢献度に疑問があるものの、でも「スタバがやっているからすごい」という共感があるります。それがブランド価値なんですよね。だから、マーケターが自身のパーパスを心から信じて、その価値を消費者が支持・共感してくれたら、すごく力になると思います。

 それにいまの若い人は、企業の人が生き生きと働いているかどうか、実によく見ているんですよ。冒頭に出てきた三大ステークホルダーのうち、消費者(若い人)は、従業員をよく見て、「従業員を大事にしない会社は、人を大事にしないのではないか」と考えて、消費活動や就活を進める。でもその視点って、おそらく当たっているんです(笑)。そして投資家や株主も、「企業にはみんながワクワクするパーパスがあるのか、それを本当に信じているのか」を見るようになっていて、視点がだんだんパーパス主導になっていると思います。

マーケティングとブランドパーパスを両立させるには

MZ:この流れで最後に伺いますが、ブランドパーパスに基づいて実際に取り組み、マーケティングと紐づけていくにはどうすればいいか、みなさんに伺いたいと思います。

ひろもり:私は企業のCSR系の部署にいるのですが、実はマーケティングとはあまり接点がないんです。ただ、事態がせっかくブランドパーパスに寄っているので、現状のままだともったいないと感じてはいるんです。

 一過性のことに終わらせないためには、社会の土壌が整っているいま、CSR的な考え方とマーケティング手法を融合させていく余地があると思うので、そこに真剣に取り組んでいきたいと考えています。

安藤:私の方では、最近、経営企画や新規事業、マーケティングの観点で、サステナビリティの視点を組み込みたいという話を受けることがあります。1つのテーマとして、サステナビリティという視点が企業のさまざまな部署に入りつつあるという印象です。

 社会が良くなることに反対する人はいないので、そういう意味では、マーケティングとしてサステナビリティの視点を取り込むことは、絶対に良いことなんですよ。なにしろ、社会を良くすることに対しては、100%の人間が賛成するんですから。ブランディングか、マーケティングか、セールスになるのかはケースバイケースですが、いろいろな部署の方がソーシャルグッドの要素を入れ、ステークホルダーと接点を持てば、いい社会になるし、みんながハッピーになると思うんです。そういう動きを加速していく方法は絶対にあるはずですし、そちらの方向に向かっていると思います。

新井:おっしゃるとおりですね。私は別の視点でもう1つ、「顧客に迎合するマーケティングはもう止めよう」ということもいっていきたいと思います。当社の価値観やパーパスはこういうものなので、これを否定したり、反対したりする人は、買わなくていいという毅然とした態度を示すこと。「誰を顧客にするのか」という点から考えて、ブランドパーパスに基付いたマーケティングを考えていってほしいと思います。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

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MarkeZine(マーケジン)
2021/03/15 08:00 https://markezine.jp/article/detail/35396

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