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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Autumn

マーケティングを経営ごとに 識者のInsight

DXの組織を新設、全社で“自分ごと化”していく 中外製薬「CHUGAI DIGITAL」の取り組み

社外への発信を強化し社内の意識を変えていく

——コンセプトムービーには、社内の意識向上の意図も込められていますか?

 その通りですね。やはり“モメンタム”を作ることが大事だと思っています。全社が一つの方向に向かって進む勢いというか。こうした活動って、強制的に切り替わる制度のようなものではないですし、すぐに自分や部門の数字に目に見えて跳ね返るわけでもありません。押し付けられている感が生まれてしまうと、意味がありません。だから、経営トップからのメッセージは不可欠ですが、“モメンタム”を高めるような環境の整備と、社外の反響や好評価の声によるモチベーション向上という角度の異なるアプローチが必要だと思っています。

 たとえばオンラインイベント「CHUGAI DIGITAL DAY」の実施にしても、実施内容を積極的に発表し、パブリシティの獲得を図りました。広報部門から毎朝メディア掲載情報を全社に共有してもらっていますが、当社のDXに関する報道がとても増えています。そうした社外からの注目が、社員の意識を変えていくと思います。

 もちろん、社外からの評価も意識しています。これまでも社内向けのイベントなどを実施していましたが、そこまで積極的に社外に発信してこなかったんです。今後、DXに関する取り組みは、より積極的にメディアに発信していこう、と。

——確かに、医薬品で宣伝ができないからこそ、別の切り口で信頼感を醸成することが大事になりますね。

 はい。伝えられる内容に制約があったとしても、何をしているかがまったくわからない会社が信用を得るのは難しいですから。ステークホルダーの皆さんに会社を理解していただくために、特設サイトやムービーを活用し、またプレスリリースで積極的に発信しています。部が発足して1年を機に、noteにCHUGAI DIGITALのアカウントを開設し、私やDXに取り組む社員のインタビューや様々な活動報告を載せています。これにより広く世の中の方々への情報提供につなげることができればと考えています。

事業を担う各部門と組みともに進めるDXプロジェクト

——全社的な“モメンタム”を作るために、具体的なプロジェクトで工夫していることなどはありますか?

 やはり最初は、他部門との協働を進めたいと考えて、製薬本部、いわゆる工場のDXを進めています。労働集約的で効率化が行き届かない面も多く、紙ベースの業務も削減の余地があると思います。推進に当たっては全社デジタル戦略で打ち出されていることを、部門に落とし込むとどうなるのか、本部長とディスカッションを重ねました。その経過を社内にフィードバックすると、じゃあ研究部門はどうするのか、営業は、と他人事ではなくなっていきますよね。こうした積み重ねで、全社でのDXの理解と実践を進められると思います。

——引き続き、中途人財を募集中だそうですね。チーム内の職能のバランスもある程度整ってきたかと思いますが、現状と、今後どういった人を期待しているかうかがえますか?

 2020年の1年間は、全社のどの部門にどのくらいのスキルのある人がいるのか調査する一方で、希望者を中心に研修も実施しました。デジタルの基礎を学ぶものから、データサイエンティスト研修、G検定の受験補助など複数の施策を実施したところ、大きな反響があり想定以上の希望者が集まりました。学びたいという意欲は高いのだと実感しました。今回はトライアル的な面もあったので、次はもっとカリキュラムを充実させ、社員それぞれがスキルアップに役立てられるようにしたいと考えています。大学や研究機関との協働も視野に入れています。

 これまで採用してきた人にも通じますが、ベースとして求めたいのは企画力ですね。フレキシブルに、いろいろな観点からトライできる人。ITやデジタルの専門職だけでなく、事業会社で様々なビジネス経験を積まれた方にも中外製薬のビジョンに共感してもらえたらと思います。

 それから、今後はオープンイノベーションの重要性がさらに増していくので、縦横無尽に人脈を構築できて、様々なパートナーと組める素養もぜひチームに欲しいところです。今の社内にはどちらかというと“自前主義”の文化があるので、もっと視野を広げて社外の力も借りながら、多様化するカスタマージャーニーをデザインできるような人財を増やしていきたいです。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

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MarkeZine(マーケジン)
2024/03/21 13:16 https://markezine.jp/article/detail/35743

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