自社運用or代理店運用 得なのはどっち?
ウェブ広告は、自社で運用するほうがよいのか、代理店に運用してもらったほうがよいのか。悩んだことのある方も多いだろう。
この疑問に対し、原氏は「ズバリ、自社運用のほうがおすすめです」と断言する。そして、自社運用のメリットを次のように説明した。
まず、代理店手数料を削減すると、その分を広告配信に充てられる。また、自社でクリエイティブを管理することで、適切なメッセージを届けられ、広告の品質向上が期待できる。
計測環境次第では配信媒体ごとにCPOやLTVを把握できるので、CPAよりも奥の領域でウェブ戦略の展開が可能となり、また配信設定にタイムラグが発生しないためスムーズな運用サイクルとなる。
これらのメリットにより、パフォーマンスの最大化が期待できるほか、自社内でウェブ広告運用の知見を蓄積し、ウェブマーケティング全般で活用していくことができるという利点もある。
「社内で知見を蓄積できる点が、自社運用の一番のメリットではないかと思っています。それにより、継続的なウェブ戦略を能動的に立案できるようになるからです」(原氏)
自社でウェブ広告を運用するのは難しいと思われるかもしれないが、機械学習による自動入札を活用すれば、おおかた問題ない。今やグーグルをはじめ大手媒体も自動入札を推奨するほど精度が上がっており、過去に使ったが満足できなかったという経験があっても、再度活用してみるといいだろう。
「機械学習による入札は、広告代理店の運用でも取り入れられているものです。つまり、基礎知識さえあれば、誰でも簡単にウェブ広告を運用できる時代になっていると言えます」(原氏)
自社運用の向き不向きを見極めるポイント
しかし、自社運用にもデメリットはある。
専門知識が必要になる上、アップデートのサイクルが速い業界であるため常にアンテナを張っておく必要がある。広告運用専属の担当者を置かない場合は、従来の業務にプラスして広告運用業務が増えることになる。また、競合他社の状況がつかめないため、自社の広告パフォーマンスがよいのか悪いのか判断できないという問題も起こりがちだ。
社内でウェブ広告の運用スキルを正しく評価する基準が設けられていないケースも多く、それがモチベーションの低下や退職動機につながる恐れもある。担当者が辞めてしまった場合、後任の育成も一朝一夕とはいかず困難だ。
では、どういった企業が自社運用をするのに適しているのだろうか。原氏は、検討する際にチェックすべき条件を紹介した。
「継続的な広告配信を実現させるため、適切な環境でウェブ広告運用を行えるかということを、自社運用すべきか否かの判断材料にしてください。運用担当者を選任にするかについては、月額の広告予算と稼働媒体数を参考に決めます。予算が1,000万を超える場合、もしくは3媒体以上の稼働がある場合は、専任の担当者をつけることをおすすめします」(原氏)