顧客は商談前にフローの50%を終えている? 営業に求められるもの
――具体的なお話に入っていきます。昨年、足立さんはHubSpot Japanでいちばんの営業成績を上げたわけですが、買い手側のどのような変化を感じましたか?
まず、お客様が事前に調査するレベルが向上していると感じました。情報を精査する力も高まっており、購買フローの50%が終わった状態で営業担当者との商談に臨んでいる印象です。情報を収集するソースも多岐にわたっていて、事前にHubSpotのユーザー様に事前にヒアリングするお客様もいらっしゃいます。詳細なリサーチをしているからか、早い段階で決裁者が商談に同席するケースも増えました。
これは、新型コロナウイルスの感染拡大対策でリモートワークが増えた点が大きく関係していると思います。メンバー間での情報共有が難しくなり、CRM/SFAやMAを導入する緊急度が高くなったことで、本気で調べる方が増えたのではないでしょうか。また、リモートワークが増えたことでオンライン商談に対するリテラシーも向上しました。HubSpotでは基本的にすべての商談をインサイドセールスで行っているのですが、以前は訪問しないと検討の候補にもあげてもらえないことも何度かありました。オンライン会議への抵抗がなくなった今は、「オンラインだから」と断られることはほぼなくなっています。何度もオンライン商談を重ねる必要が出たときも、協力的な姿勢を見せていただける企業がかなり増えたと感じています。
――そうした買い手の変化に対して、足立さんはどのように対応したのでしょう。
インバウンドの思想に基づいた営業はコロナ以前から一貫して続けていましたので、基本的に大きな変化はありません。ただ、お客様により良い体験をしていただきたいという意識は高まっています。HubSpotを活用することで、お客様がメールを確認したことや、どの資料をダウンロードしたかをリアルタイムに把握できますから、お客様がどのフェーズにあるのかを見極めて対応するようにしています。
たとえば、お客様のフェーズが「興味・関心がある」という状態であれば、HubSpotの話は出さない。「検討段階」のフェーズのお客様にはデモをご覧いただくことから始めます。あくまでインバウンドの思想に基づいて営業を行い、お客様のアクションに対応するかたちで営業するわけです。対応する内容とタイミングは慎重に判断しています。
また、私たちがHubSpotを活用しながらお客様に提供しているユーザー体験を、お客様もエンドユーザーに提供したいと思えるような営業活動を心がけるようにしています。あるお客様が、私の営業を通して「自分たちも、顧客に対してこんなスマートな営業を実践したいから、HubSpotを使いたい」と、おっしゃっていただけたことがきっかけです。
――一貫して営業活動の中で大切にしていることを教えてください。
HubSpotの考えるインバウンドの思想を体現することです。そのために、お客様を知ることと情報を惜しまず提供すること、「Give」の精神を意識しています。お客様を知ることについては、とにかくさまざまなツールやソースを駆使して、できる限り詳しい情報を集めます。
そしてお客様のフェーズに合わせて、私自身の経験や市場の動向、HubSpotの機能、競合の情報などをどんどん提供します。間違いを恐れず自分なりの仮説も伝え、「この人は良い情報をくれる」「仮説をどんどん言ってくれて、自社のことを考えてくれている」と思っていただければ、信頼関係構築のきっかけを得られます。
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インバウンドの思想をもとに全員インサイドセールスの体制で商談を完結させ、リモート環境でもコミュニケーションをとり事業成長を実現しているHubSpot Japan。同社が提供する資料『インサイドセールス活用法ガイドブック』では、「非訪問型の営業でも訪問と同じように顧客へ価値提供する」ための組織づくりの方法が解説されます。インサイドセールスの導入や運用に悩みを抱えている方はぜひ、こちらからダウンロードして組織での議論にご活用ください!