コミュニティサイトの運用にもデータを横展開
MZ:「moribus」の導入により実感している成果はありますか?
山名氏:フォロワー数を投稿の工夫で増やすことは難しいと考えていました。以前は宣伝部が出稿した広告からフォローにつながっていた部分が大きかったのですが、コロナ禍で出稿が減ったことでこれが期待できなくなりました。
ところが、「moribus」の活用によりエンゲージメントが増加したため、出稿が減った後もフォロワーは順調に伸び続けています。
MZ:Instagramの運用に限らず、「moribus」から得られたデータを有効活用されていると聞いています。
山名氏:弊社では、「moribus」とDOMOを連携させているので、なにか施策を実施した時にFacebook、Twitter、Instagramそれぞれでの反応を比較して、どこで反応がいいのかを見たりもしています。これまでは、「いいね」の内訳といっても、フォロワー/非フォロワーの比率くらいしかわからなかったのですが、毎投稿必ずいいねをしてくださる人、つまりエンゲージが高い人を深掘りできるようにもなりました。
このように多角的な分析ができるようになると、たとえば、ある旅先をこういう層にアプローチしていきたいという施策がある時、こういう角度でこういう色調のクリエイティブがいいのではなどと考えることができます。過去の傾向から知見がたまってきており、今後に可能性を感じていますね。
MZ:なるほど。チャネルやクリエイティブ、ターゲットを考える際にも役立てられているんですね。
山名氏:はい、そのほかの具体的な取り組みとしては、JAL公式のコミュニティサイト「trico(トリコ)」で新規アンバサダー候補を探すために「moribus」のデータを活用したいと考えています。
これまでは旅に関連するハッシュタグから検索して、直接DMでお声がけするというリクルーティングをしていましたが、「moribus」で得られるデータを使えば、JALのInstagramフォロワーの中からtricoと親和性が高そうな人を効率よく探すことができるはずです。
また現在、ライトインフルエンサーを集めた組織体のような構想も進めています。我々が集めたいと思っているライトインフルエンサーとは、数千人~数万人のフォロワーがいる一般の方で、フォロワーとも積極的にコミュニケーションを取っていらっしゃる方と定義しています。この候補者を探すにあたって、「moribus」のデータが役立つと期待しています。
今井氏:Instagramは自分が好きなものを投稿するSNSですので、ユーザーのライフスタイルがわかりやすく表れます。実際に会ったことがない人同士が、ライフスタイルに共感してつながっていることが多いんですね。
この特徴から、旅行好きな方でつながるトライブはもちろん、旅行好きな方はこういうファッションが好きなど、相関するトライブを発見することも可能です。つまり、旅行好きを中心とした様々なトライブから、tricoに親和性が高く、リーチしきれていない層を新たに発掘し、ライトインフルエンサーを探すことも可能だと考えています。
Instagramの特色であるものの、人力では活用の形に落とし込めない“ライフスタイル”を可視化し、データ分析、検証、運用に活かすツールが「moribus」です。山名さんのように様々なデータと連携させることで、期待以上の結果が出てくるのではと、我々も楽しみにしています。
売り上げへの貢献を可視化する効果測定へ
MZ:Instagramでこれから取り組んでいきたいことはありますか?
山名氏:効果測定に注力していきたいですね。
先ほどお話したライトインフルエンサーによるアンバサダープログラムのような取り組みで、それぞれのインフルエンサーの各投稿がフォロワーにどのような影響を与えたのかまで分析できるようになるといいですね。AIを使って投稿のコメントの言語解析を行えば、どのようなコメントをした人に態度・行動変容が起きたのかを分析することができるはずです。
施策の売り上げへの貢献を可視化できれば、経営層に説明する時にも便利です。さらに、投稿にリーチした人のうち何%の人が態度変更し、何%の人の行動が変容したのかといった基準値のようなものを作ることができれば、マーケターは施策がやりやすくなるのではないでしょうか。
今井氏:我々としては、それぞれのお客様にあった導入活用のご支援ができればと考えています。山名さんはWebコミュニケーションの最先端の取り組みを数多く実践されています。そんな山名さんが理想とするマーケティングの世界観を実現できるよう、弊社のサービスや技術力をもって、これからもサポートできればと思います。