コンテンツが多様化し、マーケティング活用の幅も広がる
――そうした利用者動向を踏まえて、マーケティングの場としてのInstagramの強みについてはどのようにお考えですか。
Instagramは利用者の興味関心に合わせたコンテンツをパーソナライズして表示するプラットフォームです。そのため認知と興味喚起が同時に起こり、「好きと欲しいを作る」ことができます。そして、大きく次の3点が、Instagramを活用したマーケティングの強みです。
(1)偶発的な発見を生むためのアルゴリズム
(2)ブランドの情報をストックする場に
(3)熱量の高いコミュニティを活用した関係性作り
特に(2)について、生活者のデジタル接触の比率が上がったことで、ブランドとのタッチポイントが分散されています。ブランドの情報も細分化されて流れていってしまうため、メッセージを伝えるのがますます難しくなっていますが、Instagramはコンテンツをストックする場として活用することが可能です。特にプロフィール閲覧者の3分の2は非フォロワーというデータもあり、プロフィールページはブランドの“顔”として機能していることがわかります。
先に挙げた強みを活かしていただくため、昨年、Instagramでブランディングを行いたいと考えているマーケターに向けて、成功要素を抽出した必勝パッケージを公開しました(図表2)。
「プレローンチ期」「商品ローンチ期」「フォロー期」のマーケティングフェーズに合わせてどのように活用するべきかを示したもので、複雑なプランニングをゼロから考えずとも取り組めるようにしています。
――では、マーケティングに関する近年の主要アップデートについて教えてください。
大前提として、当社では、あらゆる規模の事業者に対して、フルファネルで役に立つことを目指しています。特に2020年は新型コロナウイルス感染症の影響を考慮して、中小ビジネスの方々により便利にご活用いただけるソリューション開発に注力してきました。
機能拡充についても様々行っていますが、ここでは主なものを3点紹介します。
(1)ショップ機能の拡充
(2)リールの提供開始
(3)Facebook Business Suiteの提供
まずは、(1)ショップ機能の拡充です。コロナ禍で対面ビジネスに大きな影響が出る中、FacebookとInstagramのショッピングタグを活用した投稿を統合的に管理・運用できる管理画面を提供すると同時に、デジタル上でもブランドの世界観を十分に表現できるよう、柔軟なカスタマイズも用意しました。
次に(2)「リール」という名称の短尺動画機能を提供開始しました(図表3)。
フィードやストーリーズにも動画フォーマットはありましたが、リールではエフェクトなどを選び、ブランドの世界観をよりクリエイティブに表現できるようになりました。たとえばリールで製品の使い方を紹介し、ショッピングタグを付けて誘導する、という使い方ができます。
そして(3)管理・運用の面では、当社が提供する各アプリのアカウントを一括で管理できるインターフェイス「Facebook Business Suite」をローンチしました。これにより、InstagramとFacebookを横断した投稿の確認・分析がより簡単になりました。
――広告配信についても教えてください。コロナ禍の影響もあり、より幅広い業種/ターゲットの広告主が活用したり、BtoB企業がリード獲得施策でInstagram/Facebook広告を取り入れたりしている様子がうかがえます。
そうですね。現在Instagramには、「インスタ映え」の言葉に代表されるようなキラキラした写真だけでなく、多様なコンテンツが投稿されるようになりました。利用者側も、映える投稿を見るためだけにInstagramを利用しているのではなく、自分の興味関心に基づいた幅広いコンテンツに触れ、新しい商品やサービスなどの発見を求める傾向があります。このことが、幅広い広告主にご活用いただくようになった背景にあると思います。「Instagramらしい投稿かどうか」という軸ではなく、「自社に興味を持ってくれる利用者がそれを好むかどうか」という軸が、一層重要になっているとも言えるかもしれません。
広告配信については、私たちが「オンサイト」と呼ぶ利用者のプラットフォームでの行動などを基に、興味・関心に適合している層にピンポイントで配信できる点が強みです。なお、「BtoB向けの広告の場合、配信先をFacebookに絞り込んだほうがよいのでは」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、面としてどちらに出すかということも含め、基本的にはInstagram/Facebookのアルゴリズムにお任せいただくことをお勧めしていて、機械学習が最も効果を見込めるパターンを判断して、配信しています。
