LTVを予測し広告投資最適化を実現する新機能「LTVForecast」
――いろいろなD2Cの企業さんがアドエビスを使われていると思いますが、北の達人コーポレーションさんのようにLTVで評価して広告投資判断をされているところはどの程度ありますか。
笹井:LTVをまったく見ていない企業さんは流石にほとんどありませんが、北の達人コーポレーションさんのように商品×媒体の粒度でLTVの可視化、上限CPOの設定をし、出稿停止の基準も厳格に設けて運用されているところは少ないんじゃないでしょうか。目標投資回収期間がオーバーしていても、そのまま運用を続けているところが多い印象です。
笹井:北の達人コーポレーションさんのような細かく精緻な広告運用の実現が難しい背景の一つに、「LTVは実績値が蓄積されるまで時間がかかるため、広告運用のスピード感に合わない」という点があると思います。新規施策を実施した際、どうしてもLTVの実績が蓄積されるまで1年以上かかることが多く、これではスピード感を求められる広告運用の現場では活用がし辛いのが現状です。
また既にLTVの実績が出ていたとしても、目まぐるしく状況が変化するD2C市場においては、あくまで「過去のもの」として扱われることが多いのではないでしょうか。そのため最新のデータと過去のデータを組み合わせて、「実測」だけでなく「予測」をベースにLTVのアップデートをかけていく必要があります。
もう一つの背景として、北の達人コーポレーションさんのように細かい粒度でのLTVの算出、LTVに基づく上限CPO・CPAの算出までを行うには、システム構築や人的リソースの観点でかなりハードルが高いことがあると思います。
――もしLTVを即座に把握し、北の達人コーポレーションさんのようにPDCAを回していける仕組みがあれば、使いたいというD2C企業は多いのではないかと思います。イルグルムさんがアドエビスに新たに追加した機能「LTVForecast」がまさにそういったためのものですよね。
笹井:はい。「LTVForecast」はLTVを予測する機能でして、従来実測に1年以上かかっていたLTVの把握を最短1ヵ月で行えるようになります。
またLTVに基づく上限CPAも「商品×オファー×媒体」のように細かな粒度で算出することができます。それによりチューニングをかけるべき広告や、上限CPAを引き上げて予算を投下すべき広告を可視化して、マーケティングROIを最大化できます。まさに北の達人コーポレーションさんのような広告投資判断が行える機能になっています。
アドエビスでは以前から広告の獲得効率化についてはさまざまな支援をしてきましたが、その次のステップとして収益性の面も加味して「どこ」に「どれくらい」投資するべきかを可視化できるようにしました。
――「LTVForecast」は、数々のD2C企業のマーケティングをけん引してきた、田岡敬さんと共同開発されているのですよね。
笹井:そうです。共同開発パートナーにはJIMOS、ETVOSといった数々のD2C企業のマーケティングをかじ取りされた田岡敬氏をお迎えしました。田岡氏の卓越したノウハウとアドエビスの技術を融合することで、D2C企業のマーケティングROI向上のご支援をさせていただいています。
岩田:どうしてもツールベンダーだけで開発をすると、業務理解が弱く使い勝手が悪いところが出てきてしまいます。今回、D2C業界の第一人者である田岡さんに企画から開発の細部に至るまでご意見をいただきサービスをつくりあげることで、そうした点も解消できました。(田岡敬氏×アドエビス特別対談)
――田岡さんは北の達人コーポレーションさんの社外取締役でもあるのですよね。
木下:僕の前職であるリクルート時代の同期なのです。ただ、知り合いでなかったとしても、ここまでD2C業界に精通している人は他にいないので、田岡さんにお願いしていたと思います。
LTVを指標にすることで企業、ユーザー、メディアが三方良しに
――LTVForecastはD2C企業にマストのサービスだと思いますが、木下さんはどのような感想をお持ちですか。
木下:先ほどお話ししたように、LTVが明確にわかるようになると上限CPOもわかってきます。すると広告投資にかけていい基準値が明確となるため、ビジネスの難易度も簡単になるのです。
当社ではLTVForecastと同様の仕組みを自社で作って行っていますが、他社さんではなかなかこういった環境作りが難しいところもあると思いますので、LTVForecastによってこのやり方をみなができるようになれば、誰もが簡単に“実は利益が出ていなかった事業やムダな広告”がわかるようになるでしょう。事業会社がムダな広告出稿をやめて効果のある広告しか出さなくなると、広告の相場は下がってきます。
木下:なぜ今広告の相場が高いかというと、多くの会社が利益を考えずに広告費に注ぎ込むからです。これだとメディア以外、誰ももうかっていないというほとんどの人に良くない状況になってしまいます。
ユーザーにとってもムダな広告が減ればターゲティング精度の高い広告が表示されやすくなり、興味のある広告の割合が増えるというメリットがあります。それによりメディアの視聴時間が伸びるはずなので、今度はメディアの価値も上がっていきます。すべてのD2C企業がLTVForecastを使えば各企業の利益率も上がり、業界全体が利益体質になっていくことで、企業・ユーザー・メディアのすべてにとって素晴らしい状態になると思います。
――イルグルムさんは、今後どのような展望をお持ちですか。
岩田:今までは、木下さんのようにLTVや上限CPOをしっかり管理して広告運用するというのが難しい企業さんも多かったと思いますが、LTVForecastが多くの企業のオペレーションの次元を引き上げるソリューションとなれば、木下さんがいわれたような世の中全体を良くしていく一助になっていくでしょう。
笹井:LTVForecastはテクノロジーファーストではなく理想の在り方ファーストで設計したので、D2Cの事業会社さんにとって理想のオペレーションをご支援できるのではないかと思います。是非さまざまな企業さまに使っていただき、日本全体のマーケティングをさらに1歩押し進められるサービスにできればと思っています。