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北の達人コーポレーション木下氏とアドエビスが語る、ROI向上に欠かせない広告マネジメント術とは

広告を「売上」ではなく「利益」で評価すべき理由

――利益よりも売上を高くすることにこだわる企業が多いように思いますが、その理由はなぜだと思いますか。

木下:企業が売上規模で評価されるシーンが多いことが一つ要因かもしれません。企業の売上は見ていても、利益は見ていない人も多いのではないでしょうか。

 ECモールでも年に数回カンファレンスがあって、そこで配られるネームプレートの色が年商によって変わります。ネームプレートの色でヒエラルキーがあって、一番ランクの高い色だとスーパースターです。しかし売上が上がりモール内で受賞したにも関わらず、実は利益があまり出ていなくて翌年に倒産してしまうという話も聞きます。

 私が起業をした当初は売上が上がっても利益が出ないとご飯が食べられないという状況でしたので、確実に利益を見ていました。そのため、売上はあくまでプロセス、利益をゴールとして考えてきました。例えば、親から受け継いだ会社や最初から多額の資金調達ができてしまうと、そこの感覚が鈍ってしまうかもしれません。

笹井:木下さんの仰る通りで、事業成長を続けるには投資のROIを合わせる必要があります。

 近年のD2C市場は市場成長以上の新規プレーヤーの参入や法規制もあり、新規顧客の獲得効率(CPA)は落ちています。そのためCPAを下げるために、無料サンプルの配布や低価格の初回セット販売といった強い訴求やオファーの実施を行います。それでは購入の動機が弱い顧客も増えてくるので「CPAは下がったがリピート売上も下がった」ということが往々にして起こります。そうすると広告投資に対してROIが合わず事業成長が難しくなります。

 だからこそ事業成長を続けるには、CPAやリピート売上も内包した指標である「LTV(利益)」に基づく広告投資判断を行うことが必要になります。

時系列LTVと上限CPOのマネジメントで利益を最大化

――木下さんの著書『売上最小化、利益最大化の法則──利益率29%経営の秘密』の中で、高い利益率を実現するための広告評価指標として「時系列LTV」と「上限CPO」について書かれていますが、それぞれどういったものか教えていただけますか。

木下:当社では「初回購入から1ヵ月以内のLTV」「2ヵ月以内のLTV」「3ヵ月以内のLTV」……といったように「一定期間内での顧客一人あたりの平均累積購入額」を”時系列LTV”と呼んでいます。また「Yahoo!から流入した顧客」「Googleから流入した顧客」「初回半額からスタートした顧客」などのあらゆる軸でも条件を絞り込んで、LTVを算出しています。これを毎月算出することで、いつ採算が合うのか(広告費を回収できるのか)がわかるようになります。

木下氏の著書『売上最小化、利益最大化の法則──利益率29%経営の秘密』(ダイヤモンド社)より (クリック/タップで拡大)
木下氏の著書『売上最小化、利益最大化の法則──利益率29%経営の秘密』(ダイヤモンド社)より
(クリック/タップで拡大)

木下:当社では過去の経験から4ヵ月以内に広告投資回収を行えると、利益額が最大化されることがわかっています。そのため新規顧客の獲得にかける上限CPOも原則4ヵ月で投資回収ができる金額を設定しています。

 要はこの上限CPOは「いつ、いくらの利益が出るのか」というものなので、実績が1円でもオーバーしていたらチューニングをかけていきます。ここは曖昧にせず厳守することが重要で、「多少オーバーしても、いつか利益が出るだろう」という考え方では経営が成り立ちません。

――その仕組み作りも自社で行われているのですよね。

木下:「アドマネ」という自社開発した広告運用管理ソフトを使って運用しています。時系列LTVを基に算出された上限CPOが商品×オファー×媒体ごとに設定されており、上限CPOをオーバーした広告は自動で出稿が止まるようになっています。このように採算性の高い広告のみが残る仕組みを実現しています。

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LTVを予測し広告投資最適化を実現する新機能「LTVForecast」

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行う。2008年よ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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2021/09/03 11:30 https://markezine.jp/article/detail/36908

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