後払い利用者の傾向を読み解くキーワードは「フレキシブル消費」
次に両氏は、20~30代に限らず後払い決済サービスを利用している人を対象とした調査結果を振り返った。後払い決済サービス利用者の約4割が、購入したいものの金額がその月に使ってもよいと思える金額を超えていたとしても、それを欲しいと感じた時に購入していると回答。理由としては「収支の把握をきちんとできている自信があるから」「支払いの見通しが立っているから」が上位を占めた。

実際、後払い決済サービス利用者の7割以上が普段の家計管理において「家計簿やノートに記録している」「スマホアプリを利用している」と回答。後払い決済サービスの非利用者よりも16.4%高い結果を示した。

この結果について牛窪氏は「フレキシブル消費」という独自の言葉を用いて次のように解説した。
「最近はフリーランスや副業を選択する人が増え、キャリアを自分で設計・デザインしたいという機運が高まっています。一方、コロナ禍で経済的な不安を感じる人が多いのも事実。『今月は使いすぎてしまったのでセーブしよう』『メルカリの売上金が入ったらこの商品を買おう』というように、フレキシブルな消費スタイルが全年代に広がっているのです」(牛窪氏)
消費者の「今すぐ購入したい」気持ちを守る後払い
山本氏はメルペイスマート払いの特徴も柔軟性にあるとし、「支払いの方法やタイミング、利用上限金額などをユーザー自身で決められる点がフレキシブル消費の実現に貢献している」と語った。

「決済サービスの提供者として、消費者の『今すぐ購入したい』という気持ちを守っていきたいと考えています。今後、後払い決済サービスの利用が拡大すれば『後払いで買った商品の数が多くて管理しきれない』という事態も生じ得ます。そうなるとクレジットカードとの差異が出せないので、たとえ購入数が増えたとしても見やすさ・管理のしやすさ・支払いの柔軟性など、アプリの利点を活かしつつサービスをブラッシュアップしていきたいです」(山本氏)
メルペイスマート払いでは2020年以降、支払い方法を後から分割に設定できる「後から分割機能」や、メルカリの売上金が入り次第すぐに支払いたいという声に対応した「即時支払い機能」を追加。ユーザーのニーズに応じたフレキシブルなアップデートを行っている。
牛窪氏は次のようにトークセッションを締めくくった。
「今や全人口の半数がECサイトを日常的に利用する時代。後払い決済サービスとクレジットカードの併用は若年層だけでなく上の年代にも広まっていくでしょう。世代によって、後払いで購入する商品とクレジットカードで購入する商品は違うと思うので、そのパターンを明らかにする調査も行っていきたいですね」(牛窪氏)