自社だけではサステナブルな社会にはならない
――御社が掲げるパーパス、「ビジネスの力で気候変動を逆転させる」に即したアクションを継続して取り組んでいるのですね。
取り組みを続けてきたことで、2019年には温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させるカーボンニュートラルを達成することができました。これは、先ほどの取り組みに加え、従業員一人ひとりがなるべく公共交通機関を利用する、ペットボトルを使わないなどサステナブルな取り組みを行い無駄なことをしていないことにも起因しています。
マイバッグの浸透など、少しずつ気候変動への対策につながるアクションが政財界で行われるようになっていますが、まだまだ対策できることはあると思っています。そのため、Allbirdsではパートナーシップの推進にも力を入れています。
たとえば、Allbirdsが開発したサステナブルな素材に関する情報をオープンソース化して、他社に共有しています。これにより、様々な企業がサステナブルな素材を使った商品開発が可能になります。このようなパートナーシップの推進によって、社会の気候変動に対しより大きなインパクトを与えられると考えています。
サステナブルだけでは商品は売れない
――Allbirdsの商品を買われる方は「サステナブルであること」を理由に購入しているのでしょうか。
サステナブルだから、だけで商品を購入いただくのは難しいと思います。オーガニックな野菜もおいしいから買われるように、Allbirdsのシューズもロゴなどが目立たずシンプルで使いやすいデザインや軽量なボディ、洗濯可能などの様々なバリューがあって、お客様に支持いただけています。
――サステナブル以外にきちんとバリューが提供できて、初めてサステナブルであることが活きてくるわけですね。実際に購入される方は、どういった方が多いのでしょうか。
18歳から34歳くらいの比較的若い方が多いです。ITや広告業界など比較的意識の高いビジネスパーソンの方々や、ミニマリストの方の購入も目立ちますね。そして、コロナ禍の影響によりスーツで出社する必要がなくなったことで、ビジネスでもカジュアルでも使える黒色のシューズがとても売れています。
コミュニティマーケティングに注力
――現在Allbirdsで注力しているマーケティング施策について教えてください。
今力を入れているのは、コミュニティビルディングですね。ALLGOODCOLLECTIVEというグローバルネットワークを展開しており、世界中の130名以上のアンバサダーをサポートしています。アンバサダーはサステナビリティや自然、ウェルネスに関する専門家の中からAllbirdsのブランドにフィットする方で構成しており、商品開発やマーケティング活動にもご協力いただいています。日本では現在ランニングアドバイザーでモデルの福内櫻子さんなどスポーツ業界の方を中心に5名の方と連携しています。福内さんとはSakura Dashersというランニングコミュニティを運営しており、ランニングの技術や楽しさ、ライフスタイルを心と体からよくできるアドバイスを行うイベントを開いています。また、SNSでの対話にも力を入れています。投稿に対するコメントなどは基本的にすべて反応し、お客様との会話を行うようにしています。